
「早稲田大学のFACT選抜はどんな入試なんだろう?」
「条件は厳しいのかな…」
早稲田大学における総合型選抜の1つ「FACT選抜」を検討しているものの、具体的な試験内容や対策方法がわからず悩んでいる人は多いですよね。
FACT選抜は、一般選抜とは異なる特殊な入試です。高校での基礎学力に加え、データを客観的に読み解き、分かりやすく表現する能力などが問われます。そのため、正しい情報を知らずに対策を始めると、合格は遠のいてしまいます。
試験の特徴を正確に理解し計画的に準備を進めれば、合格の可能性は十分にあります。
そこで本記事では選考方法や難易度も交え、早稲田大学におけるFACT選抜の特徴を解説します。合格者のリアルな声や対策方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
なお、早稲田大学における総合型選抜の全体像を詳しく知りたい人は次の記事を参考にしてください。
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- 志願対象は人間科学部のみ
- 出願条件は評定平均値3.9以上
- 選考は書類審査と総合試験の2段階
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早稲田大学のFACT選抜とは?

早稲田大学のFACT選抜は、人間科学部で実施されている総合型選抜の一種です。正式名称は「Fundamental Academic Competency Test」、日本語では「根本的・学術的・汎用能力選抜」と訳されます。
FACT選抜は、高校での幅広い基礎学力だけを評価する試験ではありません。データを客観的に読み解き、論理的に思考し、分かりやすく表現する下記の「5つの力(CLEAR)」が重視されます。
- Communication:対話の力
- Logic:論理の力
- Expression:表現の力
- Analysis:分析の力
- Reflection:省察の力
参考:2026年4月入学 早稲田大学人間科学部 FACT選抜 入学試験要項
2026年度入試のスケジュールは以下のとおりです。
出願期間 | 2025年9月1日(月)~9月8日(月) |
1次選考合格者発表日 | 2025年9月26日(金) |
2次選考日 | 2025年10月11日(土) ※1次選考合格者に対してのみ2次選考を実施 |
最終合格者発表日 | 2025年11月1日(土) |
入学手続締切日 | WEBによる発表 |
人間科学部で受験可能

早稲田大学のFACT選抜は、人間科学部の志願者のみを対象とした入試方式です。人間科学部には、以下の3つの学科があります。
- 人間環境科学科
- 健康福祉科学科
- 人間情報科学科
出願時にいずれか1つの学科を選択する必要があります。複数の学科への併願や、出願後の学科変更は認められていません。
そのため、自分がどの学科で何を学びたいのかを明確にした上で、出願準備を進めることが重要です。自分の興味や将来の目標と、各学科の研究内容を照らし合わせ、最適な学科を選択しましょう。
参考:2026年4月入学 早稲田大学人間科学部 FACT選抜 入学試験要項
総合型選抜で併願可能な大学を知りたい人は、次の記事も参考にしてください。

倍率・難易度

2025年度の早稲田大学FACT選抜の実質倍率は1.6倍です。この数字だけを見ると、難易度が低いように感じられるかもしれません。
しかし、FACT選抜の難しさは、倍率の数字には表れない出願に至るまでの厳しい条件にあります。
下表に2025年度入試の結果をまとめました。実質倍率は、下記の計算式で算出されます。
実質倍率 = 志願者数 ÷ 合格者数
募集人員 | 志願者数(A) | 合格者数(B) | 実質倍率(A/B) |
若干名 | 46名 | 28名 | 1.6倍 |
FACT選抜の難易度を測る上で重要なのは、出願資格そのものが非常に厳しいという点です。下記の学力基準を満たした上で、ようやく出願のスタートラインに立てます。
- 全体の評定平均値3.9以上
- 上記に加えて理科・国語で4.1以上
1.6倍という倍率は、全国から集まった優秀な受験生同士による、非常にレベルの高い競争の結果なのです。そのため、単純な倍率の数字だけでは測れない難しさがあることを理解しておく必要があります。
参考:総合型選抜・学校推薦型選抜・帰国生/外国学生を対象とした入試・eスクール入試による入試結果
評定平均値3.9以上が出願条件

前述したとおり、FACT選抜は高い評定平均が出願条件として課されています。厳しい基準が、FACT選抜の難易度を倍率以上に高めている大きな要因です。
具体的には、下記の基準をすべて満たす必要があります。
- 全体の評定平均値が3.9以上
- 「理科」と「国語」で履修した全科目の評定平均値がそれぞれ4.1以上
- 理科から3科目以上、国語から3科目以上、数学(数学Ⅰ, Ⅱ, A, B)をすべて履修
- 大学が指定する外国語資格・検定試験のスコアを提出
参考:2026年4月入学 早稲田大学人間科学部 FACT選抜 入学試験要項
上記の条件は、単にテストの点数が良いだけではクリアできません。高校3年間を通じて、主要教科で極めて優秀な成績を維持し続ける計画性と継続的な努力が求められます。
特に、理系・文系にとらわれない幅広い学力が要求される点が、FACT選抜の大きな特徴です。
早稲田大学におけるFACT選抜の選考方法
早稲田大学のFACT選抜は、下記2段階の選考を経て最終的な合否が決まります。
各選考の特徴を詳しく解説します。
第一次選考:書類審査

第一次選考は、提出された出願書類を総合的に評価する書類審査です。
高校での成績を示す「調査書」に加え、志願者自身が作成する「志望理由書」や「事前課題」などを通じて、受験生の能力や意欲が多角的に評価されます。
提出が求められる主な書類は以下の通りです。
- 入学志願票
- 志望理由書
- 外国語資格・検定試験の合格証明書
- 事前課題
- 調査書もしくは成績を証明する書類

特に重要なのが、1,200字以上1,500字以内で作成する「志望理由書」です。志望理由書には、下記3つの要素を盛り込む必要があります。
- 選択した学科の志望理由
- 人間科学部で何を研究したいか
- 将来の抱負
自分の言葉で、人間科学部への強い熱意と将来性をアピールすることが求められます。ウェブサイトで公開される「事前課題」の提出も必須です。事前課題は、課題に対する理解力や思考力を示す重要な評価材料となります。
参考:2026年4月入学 早稲田大学人間科学部 FACT選抜 入学試験要項
総合型選抜で提出するエントリーシートについてもっと詳しく知りたい人は、次の記事も参考にしてください。

第二次選考:論述・面接

第一次選考を通過すると、所沢キャンパスで実施される第二次選考に進みます。試験は「論述試験」と「面接試験」の2つで構成され、思考力や表現力、そして人間性が総合的に評価されます。
論述試験(Critical Writing)は、FACT選抜における学力評価の核となる試験です。
試験時間 | 120分 |
出題内容 | 数量的なデータを含む資料を読み解き、分析した上で自らの考えを論理的に記述 |
評価点 | 情報分析能力、論理的思考力、表現力が問われる |
「面接試験」では、提出書類の内容を深掘りしながら、受験生自身の資質が評価されます。
試験時間 | 120分 |
出題内容 | 志望理由書や調査書など、提出書類の内容にもとづいて質問される |
評価点 | 人間科学部への適性、学習意欲、将来性などが総合的に判断される |
第二次選考では、データにもとづいて物事を考え、それを的確に伝える力と人間科学の領域で学びたいという強い意志が求められます。
参考:2026年4月入学 早稲田大学人間科学部 FACT選抜 入学試験要項
早稲田大学におけるFACT選抜のアドミッションポリシー

アドミッションポリシーとは、大学が「どのような学生に入学してほしいか」を示す方針のことです。FACT選抜の対策を進める上で、この方針を正しく理解しておくことは重要です。
志望理由書や面接試験では、受験生がアドミッションポリシーに合致した人材であるかが評価されるからです。
FACT選抜では、主に以下の4つの素養を持つ学生を求めています。
- 優れた基礎学力:高等学校までの幅広い基礎学力、特に理科と国語における優れた能力
- 論理的思考力と表現力:データを客観的に分析し、論理的にまとめ、分かりやすく提示する力。
- 探究心とチャレンジ精神:「研究する」という営みへの高い関心と意欲、そして新しい分野へ積極的に挑戦する好奇心
- 主体的な学習意欲:入学後に、人間科学部が掲げる「7領域17項目の総合力」を主体的に身につけていく強い意志
上記の項目からわかるように、FACT選抜は未来への可能性を重視する入試です。書類や面接では、自分がこれらの資質をいかに満たしているかを、具体的なエピソードを交えて力強くアピールする必要があります。
参考:2026年4月入学 早稲田大学人間科学部 FACT選抜 入学試験要項
総合型選抜におけるアドミッションポリシーをより詳しく知りたい人は、次の記事を参考にしてください。

早稲田大学・FACT選抜の合格体験談
FACT選抜の合格者の特徴には、下記のような共通点があります。
- 高い評定平均と教科への深い理解:出願条件をクリアするだけでなく、特に理科・国語で秀でた成績を収めている。
- 論理的思考力と探究心:物事を多角的に分析し、自分の考えを組み立てる力と、知的好奇心を持っている。
上記を踏まえ、ここからはFACT入試に合格した受験生2名の体験談を紹介します。
人間科学部に合格したYさん
気分転換に何をした?
引用:合格体験記 » 早稲田大学 受験生応援サイト DISCOVER WASEDA
行き詰まった時は、高校の行事や部活での思い出の写真を見返していました^^
息苦しい受験勉強から抜け出して楽しい思い出に浸ることは何よりの気分転換になりました!
それと同時に、他の友達も今頃勉強を頑張っているのだろうと思うと、自分も頑張ろうと思えて、モチベーションが向上するのでとてもいい方法だったと思います!
オススメの勉強法は?
特に重要な英語について、英単語はじっくり覚えようとするのではなく、1単語につき1秒のペースで意味や発音、スペルを見た方がいいと思います!
私の場合は一日で300単語を3周していました。
また、リスニングや速読の練習として、長文の音声を倍速で再生して、聞こえる単語を自分で発音するシャドーイングも効果的だと思います!
支えになった人や言葉はありますか?
私の場合は、指定校推薦だったため、志望理由書と面接があったのですが、その添削や練習の過程で、多くの先生方にお世話になりました。
何度も根気強く指導して下さったおかげで入念な準備ができ、本番ではそこまで緊張や不安を感じずに挑むことができました!
また、精神面において、両親の励ましやサポートがすごく大きな支えになっていたと思います!
受験生へメッセージ
今の努力は将来必ず自分のためになって返ってきます!
受験勉強を頑張った後には楽しいキャンパスライフが待っているので、頑張りましょう!
合格のポイントは、モチベーションを維持する工夫と、先生という第三者を積極的に活用した書類・面接対策にあります。
FACT選抜のような長期戦の入試では、学習計画だけでなく精神面の管理も重要です。Yさんのように、自分なりの気分転換の方法を確立しておくことは、最後まで学習の質を維持する効果的です。
志望理由書や面接の準備を多くの先生に手伝ってもらったという点も、FACT選抜の対策のひとつです。自分一人では気づけない客観的な視点で、先生からフィードバックを得ることができます。
人間科学部に合格したJAさん
1日どれくらい勉強した?
引用:合格体験記 » 早稲田大学 受験生応援サイト DISCOVER WASEDA
平日は最低5時間、休日は最低8時間は勉強すると決めて取り組んでいました。【英語・数学・日本史・世界史】1日3時間ほどで、【地理・政治経済・物理・化学・生物】1日2時間ほどでした。【現代文・古文・漢文】1日各1時間ほどで、現代文・古文・漢文の全てを取り組む場合は1日3時間が目安で勉強していたと思います。もちろん授業はとても頑張って取り組んでいたので、そこは抜け目がなかったですね。塾にいく必要はないとおもいます。 しかし、ここで大切なのは、目安の勉強時間の中でどのくらい量をこなせるか、ということです。 ただ3時間英語をやる、と決めても、その時間をどのように使うか決めていないとだらけてしまいます。 集中すればすぐに終わるような問題も、だらだらと時間をかけて解いてしまったり…。 要するに単なる3時間の耐久レースと化してしまうのです…! それでは意味がありません。
気分転換に何をした?
気分転換には、映画を見ました。学生におすすめな映画監督として、板倉真琴、伊丹十三 、伊丹万作、井筒和幸 、市井昌秀、井手洋子、市川崑あたりがおすすめで受験の合間にミニシアターでみることをオススメします。なぜかというと、映画は記憶との勝負で、いかに時間という概念と向き合いに、登場人物に向き合っていくかという国語的な意味合いがあるからです。本当に映画が好きになって、大学にいってよかったです。
早稲田を目指したキッカケは?
早稲田大学はとても素晴らしい大学で、先輩の先生のノリがよくて、フレンドリーで親しみやすいと聞いていてました。実際、新歓の時もたくさん話しかけてくださって、よかったです。勉強に関しては東京大学には頭の良さでは負けてますが、トーク力とか人間力では早稲田生にはいろいろな経験をしている人が多いので、魅力的な人が多いです。入っていて、本当によかったと思います。
受験生へメッセージ
受験なんて、人生のゴールじゃないし、それに、学歴社会はすでに終わっていて、個人の人間力やスキル、とりわけITスキルさえあれば食いっぱぐれないですね。むしろ学歴的な価値観に固執している人こそ、人生に損をしているひとが多い気がします!
合格のポイントは、学習の「量」と「質」を両立させる意識と、専門分野以外の経験を知的好奇心に結びつける探究心です。
具体的な学習時間という「量」の目標を立てつつ、「その時間の中でどれだけ量をこなせるか」という「質」にも目を向けています。
気分転換の「映画鑑賞」を「国語的な意味合い」と結びつけているのもポイントです。一見受験とは無関係な趣味や経験であっても、自分なりに意味を見出しています。
学びにつなげる姿勢は、総合型選抜で高く評価される「探究心」に繋がっています。志望理由書で自身のユニークな視点や経験をアピールする際のヒントになるでしょう。
【試験別】早稲田大学のFACT選抜に合格する対策法
ここからは次の試験別に、FACT入試の合格に向けた対策法を解説します。
事前課題

第一次選考で提出する事前課題は、受験生の探究心と論理的思考力を示す最初のチャンスです。
課題文の意図を正確に読み解き、自らの主張を支えるための根拠を、多角的な視点から集めましょう。その上で、レポートの基本構成である「序論・本論・結論」を遵守し、誰が読んでも納得できる論理的な文章展開を心がけてください。
実際に、2026年度の事前課題では、身の回りにある容器を利用して気圧の変化を計測する、という独創的な課題が出されました。

上記のように、科学的な思考に基づき、創意工夫を凝らして取り組む姿勢が求められます。
提出の際は、大学が指定する所定の表紙を使用し、形式面でも不備がないよう細心の注意を払いましょう。
総合型選抜の課題レポートについてもっと詳しく知りたい人は、次の記事も参考にしてください。書き方も紹介しています。

論述試験

第二次選考の論述試験は、情報分析能力と表現力が問われる試験です。論述試験を制するためには、日頃からの地道な訓練が欠かせません。
新聞の社説やデータジャーナリズムに関する記事を日常的に読み、図表やグラフから情報を正確に読み解く訓練を積み重ねましょう。FACT選抜では「数量的データ」の分析・論考・表現が求められます。そのため、データに基づいた客観的な分析力と、それを支える論理的な文章構成力が合否を分けます。
過去問の傾向を分析し、120分以内で自分の考えを的確にまとめる練習を繰り返すことが、合格への最短ルートです。
2025年度の試験では、相対湿度と毛髪の伸長率に関するデータを読み解き、グラフを作成した上で考察する問題が出題されました。
総合型選抜における小論文を対策する手順を知りたい人は、次の記事も参考にしてください。
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面接対策

約20分間の面接試験は、受験生の人間性を大学にアピールする最終の場です。ここで評価されるのは、人間科学部への適性・学習意欲・将来性です。
対策の基本は、提出した書類の内容を完璧に把握し、どんな角度から質問されても一貫性を持って答えられるように準備することです。
- なぜその学科を志望したのか
- 入学後に何を研究したいのか
上記を自分の言葉で語れるようにしておきましょう。
学校の先生や塾の講師に協力してもらい、模擬面接を重ねるのが効果的です。本番同様の緊張感の中で、簡潔かつ論理的に話す練習を繰り返すことで、試験当日自信を持って臨むことができます。
面接試験を対策する手順を知りたい人は、次の記事も参考にしてください。質問への答え方の例も紹介しています。
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まとめ
本記事では、早稲田大学人間科学部のFACT選抜の特徴から選考方法、具体的な対策まで解説しました。
FACT選抜は、下記のような多角的な能力が問われる難易度の高い入試です。
- 高い評定平均
- データ分析力
- 論理的思考力
- 探究心
しかし、アドミッションポリシーを理解し、書類作成から論述や面接まで段階的に対策を進めることで、合格への道は拓けます。
この記事を参考に、自分の強みを最大限にアピールし、ぜひ合格を掴み取ってください。