慶應義塾大学のFIT入試とは?試験の特徴や傾向&対策方法まとめ

慶應義塾大学 FIT入試

「慶應義塾大学のFIT入試って、どんな試験なんだろう?」
「FIT入試に合格するためにはどんな対策をすればいいのかな?」

慶應義塾大学における総合型選抜の1つ「FIT入試」を検討しているものの、具体的な試験内容や対策方法がわからず悩んでいる人は多いですよね。

慶應義塾大学のFIT入試は、一般選抜とは異なる特殊な形式の試験です。そのため、試験内容を把握せずに対策を始めると、貴重な時間を無駄にしてしまうかもしれません。

そこで本記事では倍率や難易度も交え、慶應義塾大学におけるFIT入試の特徴を解説します。合格者の体験談や対策方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

なお、慶應義塾大学における総合型選抜の全体像を詳しく知りたい人は次の記事を参考にしてください。

この記事の要約
  • FIT入試は法学部で実施されている試験
  • 試験方式はA方式とB方式の2種類
  • 面接はA方式とB方式両方で実施

このままで本当に合格できるかな…」と不安を抱える受験生や保護者の方へ

  • 総合型選抜で合格する人の3つの共通点
  • 合格に必要な”たった1つの準備”
  • 短期間で仕上げる効率的な試験対策

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目次

慶應義塾大学のFIT入試とは?

慶應義塾大学のFIT入試とは? 慶應義塾大学における総合型選抜の一つ

FIT入試は慶應義塾大学における総合型選抜の一つです。FIT入試では、学力試験だけでは測れない、下記の要素を多角的に評価します。

  • 受験生の個性
  • 高校生活の活動で培った才能
  • 将来の可能性

FITとは「Faculty of Law in Integration with Talented Students」の略称です。法律学や政治学への強い学習意欲と、将来社会で活躍できるリーダーとしての素質を持った学生を求めています。

法学部政治学科・法律学科で受験可能

慶應義塾大学のFIT入試は 法学部政治学科・法律学科で受験可能

FIT入試は、慶應義塾大学における法学部の「法律学科」と「政治学科」で受験可能です。

現役の高校生、既卒生(浪人生)や社会人も、出願資格を満たしていれば受験できます。選考において、現役生であることが有利になったり、既卒生であることが不利になったりすることはありません。

注意点として、B方式への出願は卒業した高等学校等から調査書が発行される場合に限られます。B方式とは、主に学業成績を重視する試験方式で、後ほど詳しく解説します。調査書発行という条件があるため、高等学校卒業程度認定試験の合格者など、調査書の発行を受けられない場合はB方式には出願できません。

また、併願のルールも確認しておきましょう。法律学科と政治学科の併願はできません。しかし同じ学科内であれば、A方式とB方式の両方に出願することが可能です。一般選抜や帰国生入試との併願も認められています。

ただし、FIT入試は慶應義塾大学・法学部を第一志望で受験するのが出願条件です。合格した場合には、入学を確約できる必要があります。

自分が出願資格を満たしているか、募集要項で事前に確認することが重要です。

参考:2026年度FIT入試 募集要項PDF 

なお、総合型選抜における併願をより詳しく知りたい人は下の記事を参考にしてください。

倍率・難易度

慶應義塾大学におけるFIT入試の倍率・難易度

下表のとおり、FIT入試の倍率・難易度は学科や方式によって異なります。

学科方式倍率
法律学科A方式5.4
B方式2.7
政治学科A方式6.1
B方式2.8
参考:出願資格および提出書類、選考方法、選考結果

法律学科と政治学科のいずれにおいても、A方式はB方式に比べて倍率が高い傾向にあります。B方式の出願には、評定平均4.0以上という要件があり志願者が絞られます。一方A方式は、高校での活動実績でアピールでき、より多くの受験生が集まることが一因です。

その結果、全体のなかで最も倍率が高いのは政治学科A方式で、倍率は約6.1倍にのぼります。最も倍率が低いのは法律学科B方式の約2.7倍で、2倍以上の差が見られます。

A方式は高校時代の活動実績で勝負できるため、より多くの受験生が集まりやすいと言えるでしょう。

慶應義塾大学におけるFIT入試方式の種類

慶應義塾大学のFIT入試は、下記2つの方式にわかれています。

それぞれの特徴を詳しく解説します。

A方式

慶應義塾大学におけるFIT入試方式の種類 A方式(従来型)

A方式は、FIT入試のなかで「従来型」と位置付けられている試験方式です。

A方式の出願資格には、高校時代の評定平均の基準がありません。そのため、学業成績だけでなく、高校での活動実績や将来性をアピールしたい受験生に向いています。

高等学校の調査書が発行されない場合でも、卒業証明書と成績証明書を提出すれば出願が可能です。

第2次選考では、主に「論述試験」と「口頭試問」が課されます。

論述試験は、大学教員による模擬講義を受けた後に行われる45分間の筆記試験です。講義内容を正確に理解し、自分なりに考察して分かりやすく表現する力が問われます。

口頭試問は、複数の教員と受験生1名で行われる約15分の質疑応答です。提出書類の内容などに基づき、学問的な理解力や論理的に説明する力が評価されます。自己紹介の時間はなく、すぐに質疑応答が始まるのが特徴です。

参考:2026年度FIT入試 募集要項PDF 

B方式

慶應義塾大学におけるFIT入試方式の種類 B方式(地域ブロック枠)

B方式は、2012年度から導入された「地域ブロック枠」の考え方を採用した試験方式です。

B方式は、出願資格に下記のとおり高い評定平均が求められます。

  • 全体の学習成績の状況が4.0以上
  • 上記に加え「外国語、数学、国語、地理歴史、公民」の指定5教科すべてで4.0以上

1教科でも基準に満たない場合は出願できません。

第2次選考では、「総合考査Ⅰ・Ⅱ」と「個人面接」が課されます。

総合考査Ⅰは、与えられた資料を読み解き、内容を400字程度にまとめる45分間の試験です。社会科学に必要な論理的思考力が問われます。

総合考査Ⅱは、特定のテーマについて400字程度の小論文を作成する試験で、独創性や発想力が評価されます。

個人面接の所要時間は約10分間です。限られた時間の中で、提出書類や評価書の内容に基づき、地域社会への関心や学習意欲などをアピールします。

参考:2026年度FIT入試 募集要項PDF 

慶應義塾大学のFIT入試におけるアドミッションポリシー

慶應義塾大学のFIT入試におけるアドミッションポリシー

アドミッションポリシーとは、大学が「どのような学生に入学してほしいか」を示す基本方針です。FIT入試のような総合型選抜では、受験生がこの方針に合致する人物かどうかが、合否を分ける重要な評価基準となります。

出願書類の作成や面接対策を進める前に、まずは大学が求める学生像を正確に理解しておくことが不可欠です。

慶應義塾大学法学部がFIT入試で掲げる学生像は、主に次の3点です。

  • 主体的に学ぶ姿勢のある人:大学の教育目標を理解し、意欲的に学習に取り組めること
  • 論理的な思考力と表現力を持つ人:社会問題に対して法律学や政治学の視点で考え、自分の意見を的確に表現できること
  • リーダーの気概を持つ人:国際的な視野と多様な価値観を持ち、新しい社会を創り出す意欲があること

参考:学部入学案内 - 各学部における3つの方針:[慶應義塾]

ただ学業成績がよいだけでなく、慶應義塾大学で学ぶ明確な目的意識と、社会に貢献する意欲を持った学生を求めていると言えます。

志望理由書や面接では、自分の経験や考えがアドミッションポリシーのどこに当てはまるのかを意識して、アピールすることで合格に近づきます。

総合型選抜のアドミッションポリシーをより詳しく知りたい人は、下の記事を参考にしてください。

慶應大学におけるFIT入試の合格体験談

FIT入試の合格者の特徴には、下記のような共通点があります。

  • 単に成績が良いだけでなく、自分の経験と学びたい学問を強く結びつけている
  • アピールするための工夫を重ねている

上記を踏まえ、ここからはFIT入試に合格した受験生2名の体験談を紹介します。

  • 法学部政治学科に合格した服部翔さん
  • 法学部政治学科に合格した奥田太陽さん

法学部政治学科に合格した服部翔さん

意識していた勉強法
一次試験(資料提出)
一次試験の際に特に重要となる資料は志望理由書と自己推薦書と呼ばれる2つです。
志望理由書に関しては、私は野球と政治を関連させた取り組みを考えたいと思っていました。そのため、野球の要素を入れすぎないようにすることと政治の要素を入れすぎて次の面接で答えられないということがないように両方の要素の塩梅を意識しました。また、自分の将来の目標を明確にし、目標に対する熱量や思いが伝わるように意識して志望理由書を作成しました。
自己推薦書に関しては、視覚的に自分自身をアピールする必要があるので、文字ばかりでなく取り組んできたことを写真や図として挿入し、見た人に自分のことが一目で伝わるようにすることを意識していました。私は高校の時に主将を務めていたので、主将として引っ張ったチームの成績や自分が出ている新聞記事を貼り、自分の努力や野球に対しての姿勢、人柄や魅力を全面にアピールすることを意識しました。
二次試験(面接)
二次試験に向けては、まずは資料提出後も自身の研究に対する知識をつけ、さらに深掘りすることを意識して取り組みました。そもそも知識がないと面接の際に根拠立てて話すことができないので、調べられることは徹底的に調べ上げ、知識を養いました。また、深堀をするために予想される質問を沢山考え、それについての答えを考え、頭にインプットしていました。実践的な面接練習に関しては、私は話すことには自信があり、志望理由についても明確に頭に入っていたので、言葉遣いや表情、聞かれたことに対してしっかりとした答えが言えているのかを毎日繰り返し練習していました。小論文に関しては、最初から形にはなっていたので、語尾や文章構成、根拠を明確にすることなどを過去問や色々な問題集で毎日練習し、無駄な減点をしてしまわないように意識していました。

引用:合格体験記 – 服部翔 – 慶應義塾体育会野球部

合格につながったポイントは「自分の経験」と「学びたい学問」のバランス感覚と、徹底した二次試験対策にあります。

志望理由書では、「野球」という自身の強みと「政治学」を結びつけつつも、どちらかに偏りすぎないよう意識しています。これは、二次試験の面接で専門的な質問に詰まってしまうリスクを避けるための、戦略的な判断と言えるでしょう。

また、自己推薦書では写真や図を使い、視覚的にアピールする工夫をしています。審査員に自身の活動を分かりやすく伝え、印象に残すのに効果的です。

二次試験では、提出書類の内容をさらに深掘りし、想定問答を繰り返すことで、自信を持って面接に臨むことがポイントです。

法学部政治学科に合格した奥田太陽さん

意識していた勉強法
一次試験(資料提出)
一次試験の際に特に重要となる資料は2000字の志望理由書と自由記述と呼ばれる2つです。志望理由書に関しては、大学で何がしたいのかや大学卒業後の自分の理想像をこれまでの経験などを踏まえ記載する必要があります。私は、特に自分を試験官の立場から客観視することを意識して取り組んでいました。自由記述に関しては、指定された枚数の中で自分を最大限アピールする必要があります。私は写真を使ってこれまでの経験を記載し、何百人ものライバルの中で試験官の印象に残ることができるよう、図や色を工夫するように意識しました。特に資料のデザインに自信がなかったため、多くの方々に伝えたいことが資料から伝わっているか見てもらい、より良い資料になるよう心掛けていました。
二次試験(面接)
二次試験では、論述試験と口頭試問、そして面接があります。論述試験では、知識がないと質の高い論述が書けないため、新聞や本などから知識をつけることを重点的に行っていました。口頭試問では、自分の考えを端的に説明することが求められていると思います。そのために、多くの方々に協力してもらい、過去問や出題されそうな問題から対策を行いました。そして、面接ではどんなことを聞かれても答えられるように、一次試験が終わってから改めて自分がこれまでの研究してきたこと、そしてこれからの展望を考え、多くの人に面接練習に付き合っていただき、対策しました。

引用:合格体験記 – 奥田太陽 – 慶應義塾体育会野球部

合格のポイントは、「客観的な視点」と「周囲を巻き込む力」です。

志望理由書を作成する際に、常に「試験官からどう見えるか」を意識している点が重要です。アピールしたいことを一方的に書くのではなく、相手にどう伝わるかを考えることで、説得力のある書類を作成できます。

二次試験対策では、周りの人に協力してもらい、実践的な練習を重ねます。自分一人では気づけない弱点を克服し、本番での対応力を高める上で役立ちます。

考えを端的に説明する練習は、短時間で的確な応答が求められる面接において、合否を分けるスキルとなります。

【試験別】慶應大学のFIT入試に合格する対策法

ここからは次の試験別に、FIT入試の合格に向けた対策法を解説します。

慶應大学のFIT入試に合格するためには、A方式・B方式それぞれで課される試験の特性を理解し、対策を立てることが必要です。

各試験で評価される能力や求められる準備が大きく異なります。やみくもに勉強するのではなく、試験ごとのポイントを押さえた学習を進めましょう。

論述試験(A方式)

慶應大学のFIT入試に合格する論述試験(A方式)の対策法

A方式の論述試験は、模擬講義の内容を踏まえて解答する、思考力と表現力が問われる試験です。合格点を取るためには、以下の対策をおさえましょう。

まず、模擬講義の要点を正確に把握する訓練です。講義の「問題提起→根拠→結論」といった構造を意識しながら、キーワードや具体例をメモする練習が効果的です。

論理的な文章構成力を鍛えます。PREP法(結論→理由→具体例→結論)などを参考に、自分の意見とその根拠を分かりやすく記述する練習を積みます。

法律・政治分野の基礎知識も不可欠です。日頃からニュースや新聞で社会問題に触れ、法律や政治がどう関わっているかを考える習慣が、深い考察につながります。

最後に、45分という時間配分の練習を徹底してください。過去問などを使い、講義の理解から構成、記述までを時間内に終えるシミュレーションを繰り返すことが、本番での成功に直結します。

参考:2026年度FIT入試 募集要項PDF 

口頭試問(A方式)

慶應大学のFIT入試に合格する口頭試問(A方式)の対策法

A方式の口頭試問は、提出書類をもとに、受験生の学問的な理解力や論理的な思考力を評価する試験です。約15分という短い時間で的確に返答しましょう。

口頭試問では、提出書類した書類を自分自身で再度見直すことが重要です。志望理由書や活動報告書に書いた内容について、あらゆる角度から質問されることを想定し、回答を深く掘り下げて準備します。

次に、学問的な視点で応答する練習をします。自分の活動や興味関心を、法律学や政治学のどの分野に結びつけて考えられるかを整理し、論理的に説明できるようにしましょう。

「なぜ?」と自問自答を繰り返すことも有効です。自分の考えに対して「なぜそう思うのか?」「その根拠は何か?」と問い続け、思考を深めておくことで、鋭い質問にも対応できます。

そして、簡潔かつ的確に話す練習を重ねてください。約15分で複数の質問に答えるため、結論から先に話す「結論ファースト」を意識し、要点をまとめて伝える訓練ポイントです。

参考:2026年度FIT入試 募集要項PDF 

総合考査(B方式)

慶應大学のFIT入試に合格する総合考査(B方式)の対策法

B方式で課される総合考査は「総合考査Ⅰ」と「総合考査Ⅱ」の2つに分かれています。どちらも試験時間は45分です。それぞれ異なる能力が試されるため、個別の対策が必要です。

総合考査Ⅰでは、グラフやデータ、条文といった様々な資料を正確に読み解く力が求められます。資料が示す「客観的な事実」と、そこから考えられる「自分の推測」を明確に区別し、400字で要約する訓練を積むことが高評価のポイントです。

総合考査Ⅱは、与えられた社会科学系のテーマについて自分の意見を400字で表現する小論文です。独創性や創造性が評価されるため、日頃から「自分ならどうするか?」を考えるトレーニングが有効です。

総合考査Ⅰ・Ⅱともに、思考をまとめ、400字の文章を書き上げる練習を徹底しましょう。過去問などを使い、時間を計って取り組むことで、本番でも焦ることなく書くことができます。

参考:2026年度FIT入試 募集要項PDF 

面接試験(B方式)

慶應大学のFIT入試に合格する面接試験(B方式)の対策法

B方式の面接試験は、約10分間と短いのが特徴です。提出した評価書や高い評定平均をもとに、受験生の人間性や学習意欲が深く問われます。限られた時間で最大限に自分をアピールするため、的を絞った準備をしましょう。

まず、推薦してくれた高校の先生が自分の何を評価しているか、提出した評価書の内容を把握しておくことから始めます。その上で、評定4.0以上という高い成績を収めることができた理由や、学業への真摯な取り組み姿勢を、具体的なエピソードを交えて説明できるように準備しましょう。

B方式は「地域ブロック枠」であるため、下記の点を具体的に語れるようにしておくことも求められます。

  • 出身地域や関心のある地域が抱える課題
  • 上記課題を法学・政治学の力でどう解決したいか

約10分という時間で効果的に自分を伝えるには、アピールしたい要点を2〜3個に絞り、結論から話す練習をします。自信を持ってハキハキと、簡潔に話すことを心がけましょう。

参考:2026年度FIT入試 募集要項PDF 

総合型選抜における面接試験の対策方法をもっと詳しく知りたい人は、次の記事も参考にしてください。

まとめ

慶應義塾大学のFIT入試は、法学部で実施される総合型選抜です。A方式は活動実績、B方式は評定平均が重視されるなど、方式ごとに特徴が異なります。

合格の鍵は、大学が求める学生像(アドミッションポリシー)を理解し、志望理由書や二次選考で自分の強みを論理的にアピールすることです。

本記事で解説した試験別の対策法を参考に、計画的に準備を進めて合格を掴みましょう。

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