この記事では大学別に、総合型選抜の合格率を解説します。
- 私立国立ともに総合型選抜の募集人数、入学者数が毎年増加している
- 総合型選抜では募集人数よりも多く合格者を出す大学がある
- 総合型選抜の合格率を上げるには、自己分析と志望校に合わせた対策が重要
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総合型選抜の合格率にまつわる基礎知識
総合型選抜の合格率は、受験者数に対して合格者数の割合を示す重要な指標です。合格率は次のように計算します。
合格率(%)=合格者数÷受験者数×100
受験生が志望校を選ぶ際、合格率を1つの基準として活用することもあります。
ここからは、総合型選抜の合格率にまつわる特徴を、3つにまとめて説明します。
- 合格率は大学ごとで異なる
- 募集人数が多いところは合格率が高い
- 一般選抜よりも合格率が高い
総合型選抜の合格率の特徴を知ることで、自分にあった対策を進められます。
合格率は大学ごとで異なる
総合型選抜の合格率は大学ごとに大きく異なります。なぜなら、各大学ごとに募集人数も選考基準もさまざまだからです。
募集人数に対して受験者数が多い場合は、競争率が激しくなり合格率は下がります。一方、出願条件に評定基準があり、限られた人しか受験できない場合は、合格率が高くなる傾向です。
たとえば、慶應義塾大学FIT入試では、同じ学部でも評定なしのA方式と、評定ありのB方式に分かれています。2つの受験方法の違いで合格率に差が出ています。
評定基準が設けられているB方式の方が、志願者数は少なく、かつ合格者が多い結果です。
上記のように、ひと口に合格率といっても志望する大学や学部の出願条件によって、全く違います。自分の志望する大学の傾向を把握することが大事です。
募集人数が多いところは合格率が高い
募集人数が多い大学ほど合格率は高くなります。なぜなら募集人数が多ければ合格のチャンスも増えるからです。
たとえば、慶應義塾大学の文学部では募集人数が120名と多く、合格率は46.9%です。一方、募集人数が若干名の看護学部では合格率が10%未満となっています。
私立大学を中心に広まった総合型選抜ですが、国公立でも実施する大学は年々増加傾向です。
文部科学省の調査結果では、私立・国立ともに、総合型選抜の「実施率」「募集人数」「入学人数」の増加がみられます。特に国立大では令和3年度に急激に増加しています。
募集人数が増えることで、入学者も増え、総合型選抜に合格しやすくなるのです。
一般選抜よりも合格率が高い
総合型選抜の合格率は、一般選抜より高くなる傾向にあります。なぜなら、総合型選抜は大学が求めている人材を探すための入試だからです。
たとえば、中央大学では、募集人数よりも合格者を多くとっている学部がありました。人文社会学科では募集人数が「若干名」でしたが、実際には70人も合格しています。早稲田大学でも若干名の募集枠に21人合格者を出しています。
総合型選抜では、大学に適した人材がいれば、募集人数よりも多くの合格者を出すことが可能です。一般選抜よりも合格のチャンスが見込めます。
【学校別】総合型選抜試験の合格率
ここからは、次の学校別に総合型選抜の合格率を紹介します。
- 私立大学
- 国立大学
- 専門学校
なお、各学校の合格率は合格者数を受験者数で割る形で算出しています。同じ学部において総合型選抜と一般選抜との合格率を比較しています。参考にしてください。
また、下の記事では学校別に総合型選抜試験の倍率を詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
私立大学
大学名 | 学部学科 | 総合型選抜合格率 | 一般入試合格率 |
---|---|---|---|
早稲田大学 | 先進理工学部 法学部 | 100% 3.0% | 28.3% 21.8% |
慶應義塾大学 | 政治A評定なし 政治B評定4.0 | 16.6% 34% | 25% |
青山学院大学 | 地球社会共生学 コミュニティ人間科学 | 42% 19% | 22% 26% |
中央大学 | 文学部人文学科 法学部 | 33% 23.5% | 26% 36.5% |
立教大学 | 理学部物理 経済学部 | 50% 12.2% | 26% 29.8% |
明治大学 | 理工学部 農学部 | 53% 47.3% | 38% 25.5% |
法政大学 | 文学部日本文学科 法学部 | 33% 54% | 15% 28.5% |
上の表から、大学によって合格率は大きく異なることがわかります。また学部によって、総合型選抜の方が受かりやすい場合と、一般選抜の方が受かりやすい場合があります。
明治大学・法政大学は、一般選抜より総合型選抜のほうが合格率が高い学部が多い傾向です。気になる大学の入試データを確認してみましょう。
国立大学
大学名 | 学部学科 | 総合型選抜合格率 | 一般入試合格率 |
---|---|---|---|
東北大学 | 経済学部 文学部 | 60% 28% | 42% |
筑波大学 | 情報科学 人文・文化学群 | 31.2% 15.1% | 29.4% 49.8% |
横浜国立大学 | 理工学部 教育学部 | 40% 23.4% | 33.5% 59.3% |
大阪大 | 文学部 法学部 | 62% 31.5% | 38.1% 45.5% |
九州大学 | 経済学部 共創学部 | 47.8% 18.3% | 39.3% 38.2% |
国立大学の合格率も、私立大学同様に大学によって大きく異なります。学部によって総合型選抜の方が受かりやすい場合と、一般選抜の方が受かりやすい場合があります。
大阪大学は総合型選抜の合格率が比較的高めの傾向です。
総合型選抜を一部の学部にしか取り入れていない大学があります。気になる大学の入試データをよく確認することが必要です。
専門学校
学校名 | 総合型選抜合格率 | 一般入試合格率 |
---|---|---|
厚木看護専門学校 | 58.8% | 76.9% |
横浜リハビリテーション専門学校 (理学療法) | 75.8% | 26.6% |
横浜リハビリテーション専門学校 (作業療法) | 59.4% | 33.3% |
湘南歯科衛生士専門学 | 100% | 90% |
専門学校では、入試データの情報を公開している学校は多くありません。しかし、総合型選抜の合格率は高い傾向にあります。なぜなら、専門学校は将来の目標が明確な人が志す学校だからです。
たとえば、横浜リハビリ専門学校は、総合型選抜で入学する学生が大部分を占めます。一方、一般選抜する学生は数人しかいません。総合型選抜をメインに学生を確保していることがわかります。
将来の目標が明確で、専門学校を目指す場合は、総合型選抜が最適です。
総合型選抜に受かりやすい人の特徴
総合型選抜は多様な選抜方法で受験生を評価します。そのため、成績が良くても不合格の場合もあれば、成績に自信がなくても合格する場合もあるのです。
そこで、ここからは総合型選抜に受かりやすい人の特徴を、3つにまとめて紹介します。
- 将来の目標が明確な人
- 課外活動に実績がある人
- 自分の強みを理解しアピールできる人
自分は総合型選抜に向いているのかを確認しながら、読み進めてください。
特徴1:将来の目標が明確な人
将来の目標が明確な人は、総合型選抜に向いています。なぜなら大学のアドミッションポリシーに合致しやすいからです。
例 | |
---|---|
自分の興味・目標 | ・児童心理や発達に興味がある ・将来はスクールカウンセラーになりたい |
大学の求める人物像 | 自他の個性を認め、多様な他者と協働しながら学ぶことができる人物 |
自己アピール | ・児童心理や発達を学ぶことで子どもへの理解を深めたい ・他者の意見や考えを取り入れ、自分の視野を広げたい ・それぞれの個性を認め、長所を見つられるカウンセラーになりたい |
このように、自分はどんなことを学び、将来どう活かしたいのかを大学の特色に合わせて考えることが大切です。
「将来の目標のためにこの大学で学びたい」という強い思いがあると、学ぶ意欲が高く評価されます。自分の興味や目標がある人は合格しやすい傾向です。
特徴2:課外活動に実績がある人
部活動を頑張っている、ボランティア活動を継続している人も総合型選抜に向いています。なぜなら、課外活動を通じて、培った経験や能力が高く評価されるからです。
次のような活動実績があるか確認しましょう。
課外活動で大きな実績があれば、もちろん高い評価を受けます。しかし、目立った結果がなくても行動力や継続力、活動を通じて学んだことなどが評価の対象となります。
学業以外の活動は、総合型選抜に有利です。
特徴3:自分の強みを理解しアピールできる人
自分の強みを理解し、アピールできる人は総合型選抜に向いています。なぜなら、総合型選抜は受験生の個性や適性を判断する入試だからです。
自分の得意なこと、好きなこと、スキルなどを自己分析し棚卸します。次のような特徴も自分の強みになります。
- 行動力
- 継続力
- 協調性
- コミュニケーション力
- 問題解決能力
- 自己分析力
- 社会貢献
「3年間部活を継続し、目標達成するために努力してきた」「文化祭の実行委員をしたことからコミュニケーションの大切さを学んだ」など自分の強みを具体的なエピソードと交えて伝えられることが大切です。
自分の強みを見つけるために、自己分析は必須です。
総合型選抜は受けるべきなのか
なかには、総合型選抜を受けるか悩んでいる人もいますよね。結論として、自分が本当に行きたいと思う大学がある人は、総合型選抜を受けるべきです。
総合型選抜は、学力試験だけで合否が決まる入試ではありません。勉強に取り組む姿勢や思考力、探究心など、受験生の個性や適性を評価します。そのため、学力試験に自信がなくても、一般選抜で見込みがない大学でも挑戦できます。
1番大事なことは、その大学に入りたいという熱意です。憧れている大学がある人は、総合型選抜にチャレンジすることで、合格のチャンスが広がります。
次の記事では、総合型選抜の難易度や試験内容を詳しく解説しています。受験するかを踏まえ、総合型選抜への理解を深めたい人は、ぜひ参考にしてください。
総合型選抜の合格率を上げる3つのポイント
ここからは、総合型選抜の合格率を上げるポイントを、3つにまとめて解説します。
- 志願理由を明確にする
- 大学が求める人物像にマッチさせる
- 志望校に合わせた対策をする
ポイント1:志願理由を明確にする
志望理由は総合型選抜において重要な項目です。なぜなら、大学側は受験生の熱意と学びの意欲を重視して評価するからです。
たとえば、環境学部を志望する場合は次のような例が考えられます。
- 「環境学部に入学したい」
- 「なぜなら、ゴミのリサイクルや地域の環境整備に興味があるから」
- 「この大学で最新の環境技術や環境保護について学びたい」
- 「将来は地元の環境保護活動に知識と経験を活かしたい」
自分が学びたいことを書き出し、将来どう生かしたいかを言語化します。大学の特色に合わせて考えることが大切です。
志望理由が明確になれば、面接対策や自己PRにも活かせます。
ポイント2:大学が求める人物像にマッチさせる
総合型選抜ではアドミッションポリシーを理解し、自分を重ね合わせることが重要です。なぜなら、大学は求める人物像をアドミッションポリシーに提示し、条件に合致する学生を探すからです。
たとえば、早稲田大学の人間科学部では期待する学生像として、6つの資質や能力を提示しています。
- リテラシー
- 方法論・専門性
- 学際性・多様性
- デザイン力
- 協働性
- 反省性・倫理観・自己教育
上記の提示された6つの資質能力を自分に合わせて伝えます。具体的なエピソードから、自分が経験して学んだことを重ね合わせます。
大学が求める人物像に、いかに自分を合わせられるかが重要です。総合型選抜におけるアドミッションポリシーについてより詳しく知りたい人は、次の記事を参考にしてください。
ポイント3:志望校に合わせた対策をする
総合型選抜は各大学によって選抜方法が異なります。多くの大学では面接や小論文を取り入れていますが、プレゼンテーションや口頭試問も実施するところもあります。
たとえば、面接でよく聞かれる質問内容は、次のようなことが多いです。
- 本学のどこが気に入りましたか?
- 入学してから何を学びたいですか?
- その分野を学びたい理由は何ですか?
- あなたの長所や得意なことは何ですか?
- 高校生活で何を経験しましたか?
面接では志望校に対する思い入れや大学の魅力、学びたい分野を答えられるようにしておきましょう。アドミッションポリシーを把握し、志望校の特色に合わせた内容を考える必要があります。
また、プレゼンテーションや口頭試問は、すぐに出来るようなことではありません。高校や塾の先生と、繰り返し練習する必要があります。
本番では緊張して頭が真っ白という状態にならないように、万全な準備で総合型選抜に挑みましょう。総合型選抜試験に向けた勉強法を詳しく知りたい人は、下の記事を参考にしてください。
まとめ:適切な受験対策で合格率を上げよう
今回は、大学ごとでの傾向も交え、総合型選抜の合格率を解説しました。
合格率とはあくまでも募集人数と受験者数との割合です。もちろん人気がある大学では合格率は下がります。
しかし、だからといって自分が不合格になるとは限りません。自分の合格率を上げるために、早いうちから志望校の受験対策を行うべきです。
大学側に「あなたみたいな学生が欲しい」と思わせられれば、合格の可能性が大きくなります。そのためには、アドミッションポリシーを分析し、自分がいかにこの大学で学びたいかを伝えることが大切です。そうすれば合格の道も開けます。