この記事では目安や成績の重要性も交え、総合型選抜に必要な評定を解説します。
総合型選抜とは、AO入試がもととなり改変された入試方法です。従来のAO入試では学力を重視しない側面が強かった反面、総合型選抜は学力も含め、思考力や判断力・表現力などを総合的に評価するようになりました。
そのため、総合型選抜では評定平均も、重要な選抜材料の1つとなっています。
とはいえ、総合型選抜にどのくらいの評定が必要なのか曖昧な人もいますよね。「自分の評定だと、どこの大学を受けられるのかな…」「評定に自信がないけど、チャンスはあるのかな…」とわからないことや不安なことが多いはず。
そこで、本記事では総合型選抜における評定の重要性を、目安や計算方法も交えて解説します。大学別で総合型選抜の評定平均も一覧にまとめて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
- 総合的な評価で合否を決める点で、総合型選抜に評定は不可欠
- 評定平均は大学ごとで異なる
- 志望理由や出席日数なども評定と同様に重要
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総合型選抜(旧AO入試)に評定は不可欠
総合型選抜において、評定は重要な役割を担います。なぜなら、学力も含めて総合的に判断する総合型選抜では、評定が1つの判断材料となるからです。
評定とは各教科ごとの成績を示し、成績全体の平均値を評定平均といいます。評定平均は高校3年間で身につけた学力を表すものです。受験生にどれほどの学力が身についているのかを評定平均をみて判断する大学もあります。
評定平均を出願条件にしている大学を受験できるのは、その基準を満たしている学生だけです。
評定平均が高ければ出願できる大学の選択肢が増え、行きたい大学を自由に選べます。総合型選抜で合格のチャンスを増やすためには、評定平均を上げておくことが重要と言えるでしょう。
評定がいらない大学もある
総合型選抜で評定がいらない大学もあります。なぜなら、総合型選抜は学力だけを重視するのではなく、評定以外の方法で学びへの意欲や人間性、スキルなどを判断する入試だからです。
たとえば、慶應義塾大学の法学部FIT入試では、同じ学部でもA方式とB方式の2種類の選抜方法に分かれています。
A方式では評定平均を設けていません。一方、B方式では指定の各教科(外国語・数学・国語・地理歴史・公民)および全体の学習成績の状況が4.0以上と設定されています。
A方式では、評定の代わりに部活動やボランティア活動など、さまざまな活動での取り組みと実績をアピールする自己推薦書の提出が課されています。
このように成績に自信がなくても、自分の条件にあう大学を探すことで、総合型選抜にチャレンジできるでしょう。気になる大学の出願資格を確認することが大切です。
国公立と私立での違い
総合型選抜において、国公立と私立とで評定の大きな違いはありません。なぜなら、評定の有無やレベル、出願条件は大学や学部によって異なるからです。
たとえば、早稲田大学の社会科学部では評定平均4.0以上が条件となっていますが、同じ早稲田大学の国際教養学部では、評定平均を設けていません。
また国立大学で最初に総合型選抜を取り入れた東北大学では、「調査書の学習成績概評がA段階に属する者」と設定されています。しかし、同じ国立でも筑波大学では評定平均を設けていません。
このように、総合型選抜における評定は各大学の選抜方法による特徴が大きいです。
ただし、私立に比べ国公立の総合型選抜は求められる評定平均が高い傾向にあります。なぜなら、国立大学協会は、総合型選抜を実施する上で「一定の学力を担保すること」と定めているからです。
評定平均がいらない国公立でも、共通テストを課して、学力を判断する傾向があります。たとえ評定がいらなくても、油断せず勉強に励む必要があるでしょう。
総合型選抜(旧AO入試)における評定とは?
総合型選抜における評定とは、高校3年間の成績全体を表したものです。
大学は評定を見ることで、受験生が高校生活をどれだけ頑張ってきたかを把握します。評定を出願条件にしている大学を受験する場合は、特に重要です。
一方、評定がいらない場合でも受験生を判断する1つの要素として活用されます。評定平均の計算方法や評定の見方を参考に、自分の評定平均を算出して確認しましょう。
評定平均の計算方法
評定平均で必要なのは、高1〜高3(1学期)までの成績です。高1〜高3(1学期)までに履修した評定(成績)の合計を、履修した全科目数で割った値が評定平均となります。
「履修済み評定(成績)合計数」÷「履修済み科目合計数」=「評定平均」
例として、高校1年次の成績から評定平均を出してみます。
(例)高校1年次成績
科目 | 現代文 | 古典 | 世界史A | 現代社会 | 数学1 | 数学A | 物理基礎 | 化学基礎 | 生物基礎 | 体育 | 家庭科 | 英語表1 | コミ英1 |
評定 | 4 | 3 | 4 | 5 | 4 | 4 | 3 | 4 | 4 | 5 | 4 | 5 | 4 |
各科目の成績の合計は「53」、履修済み科目数は「13」科目です。次のように計算式に当てはめます。
全科目の評定(成績)の合計「53」÷科目数「13」=評定平均「4.07」
小数点第2位以下を四捨五入して、今回の評定平均は「4.1」となります。
このように、高校2年次・高校3年次(1学期)の評定合計を、3年間の履修科目数で割ることで評定平均を算出します。評定平均は1年生からの積み重ねが重要です。自分の評定平均はいくつなのかを算出し、現状を把握しておきましょう。
なお、下の記事では悪い成績がどれほど総合型選抜試験に不利に働くのか、その実態を詳しく解説しています。「この成績で合格できるかな…」と不安な人はぜひ参考にしてください。
評定の見方
評定平均は「調査書」に記載され、受験する大学に送られます。調査書とは高校が作成する書類で、いわゆる内申書のことです。調査書には評定平均や学校生活の様子など、次のことが記載されています。
- 学習成績の状況(評定平均)
- 学習成績の概評
- 特別活動の記録
- 総合的な探求の時間の記録
- 出欠の記録
- 指導上参考となる諸事項
調査書では評定平均を「学習成績の状況」として表しています。また「学習成績の概評」とは評定平均をA〜Eの5段階に分類したものです。選抜入試の出願条件において、評定平均の数値(4.0以上など)で表す場合と学習成績の概評(A段階以上など)であらわす場合があり、大学によって表現の仕方が異なります。
- 学習成績の概評と評定平均
学習成績の概評 | 評定平均 |
---|---|
A | 5.0〜4.3 |
B | 4.2〜3.5 |
C | 3.4〜2.7 |
D | 2.6〜1.9 |
E | 1.8以下 |
調査書は高校生活の頑張りを示すものです。総合型選抜では大学が求める人物像を探すために、学習面、活動面などさまざまな視点で、能力や適性を総合的に判断する材料の1つとなります。
調査書の重要度は大学によって異なりますが、できれば大学側に好印象を与えたいですよね。評定を少しでも上げられるように、高校生活を前向きに取り組めるとよいでしょう。
評定平均が記載される総合型選抜試験に必要な調査書についてより詳しく知りたい人は、次の記事を参考にしてください。
【大学別】総合型選抜(旧AO入試)の評定平均・一覧
総合型選抜に必要な評定平均を大学別にまとめました。多くの大学で総合型選抜を取り入れていますが、それぞれの大学で求められる評定平均が異なります。ここでは主要大学の評定平均を紹介しているので、今後の受験対策の目安としてください。
- 関東私立大学
- 関西私立大学
- 国公立大学
同じ大学でも、学部によって必要な評定平均は異なります。自分が気になる大学や学部の出願要項を確認して、評定平均がどのくらい必要なのかを調べておきましょう。
総合型選抜(旧AO入試)で評定以外に重要な3つのポイント
ここまで、総合型選抜には評定が重要という話をしてきましたが、評定が高いからといって合格するとは限りません。
総合型選抜では学びへの意欲・人間性・目的意識の高さなども重視して、多面的かつ総合的に判断するからです。
そこで、ここからは総合型選抜で評定以外に重要なポイントを、3つにまとめて解説します。
- 志望理由
- 出席日数
- 特別活動
志望理由
志望理由は総合型選抜において特に重要です。なぜなら、総合型選抜で1番強く問われることは「あなたがその大学で何を学び、どう将来に活かしたいか」だからです。
各大学には、アドミッションポリシーが提示されており、大学の教育理念や求める学生像が示されています。大学はアドミッションポリシーに合致する学生を探すべく、丁寧な書類審査や面接で志望理由を聞きます。それにより、志望理由を答える際には、自分の興味や経験を大学の求める人物像に合わせることがポイントです。
たとえば、ある教育学部では教育に関心が高く、強い熱意のある学生を求めるため、次のような人物像が提示されています。
- 教員として子供とコミュニケーションをとりながら共に学び続けたい人
- 特別支援教育の充実、創造に貢献したい人
この大学が求める人物像に、自分の経験や思いを重ねます。次のような例を参考に具体的なエピソードを交えた志望理由を考えましょう。
- 近所の子供に勉強を教えた経験から、教育の大切さや面白さを実感した
- 子供の発達に適した特別支援教育を研究し、地元の学校教育を充実させたい
このように、自分が「なぜこの大学で学びたいのか」をアピールするために、大学の特色を分析し、自分と重ね合わせることが重要です。
出席日数
選抜入試の際に出席日数も評価の対象になるので、欠席が多い人は注意が必要です。
なぜなら、欠席が多いとマイナスな印象を与える恐れがあるからです。たとえば、審査の際に評価が同等の人がいた場合、欠席日数が少ない人の方が印象がよく、学業に熱心と判断されます。
もちろん病気で休んだ場合は考慮されるので、面接で聞かれたときに理由を答えられるようにしておきましょう。出席日数だけで合否が決まるわけではありませんが、理由なき欠席だけは避けるべきです。
総合型選抜試験に欠席日数が与える影響についてより詳しく知りたい人は、次の記事を参考にしてください。
特別活動
部活動や生徒会活動、学校行事などの特別活動も重要な役割を果たします。なぜなら総合型選抜は、学力だけではなく、意欲や行動面も含めて総合的に判断するからです。
たとえば、「部活動を通じて忍耐力がつき、受験勉強にも活かせた」「部長を努めたことでコミュニケーションの大切さを実感した」など、活動した実績だけではなく、活動したことで得られた経験に注目しましょう。
その活動を通してどのような気づきがあり、その経験が今後どう活かせるのかをアピールすることが重要です。部活動や生徒会活動が総合型選抜に与える影響を詳しく知りたい人は、下の記事を参考にしてください。
まとめ:評定を上げて総合型選抜を勝ち抜こう
この記事では総合型選抜における評定の重要性や評定平均の目安・計算方法などを説明しました。
総合型選抜において、求められる評定平均は大学によってさまざまです。評定に自信がなくても、自分の条件にあった大学にチャレンジできるメリットがあります。
一方、評定平均を上げておくことは、受験できる大学の選択肢を増やすことにつながります。評定をあげて、自分の志望する大学に合格できるよう、今後の勉強や部活動などに励んでくださいね。
なお、総合型選抜試験では評定の合計値を示す「内申点」も重要となります。総合型選抜において内申点が需要な理由や評価基準を詳しく知りたい人は、下の記事を参考にしてください。