
「東京大学に新しくできたカレッジオブデザイン学部ってどんな学部なんだろう?」
「今、ある学部と何が違うの?」
2027年9月に開設が予定されている東京大学の新しい学部、カレッジオブデザイン学部。気になっているものの、大学の公式サイトを見ても特徴や受験条件がわからない人は多いですよね。
カレッジオブデザイン学部は従来の文系・理系の枠組みを超え、社会課題の解決を目指す人材を育てることを目的に新設された学部です。入試制度も、学力試験を課さないグローバルな選抜方法が採用される予定です。
本記事ではそんな東京大学・カレッジオブデザイン学部の特徴を解説します。受験に必要な条件や対策方法も紹介するので、参考にしてください。
- 東京大学のカレッジオブデザイン学部は2027年9月開設予定の学部
- 5年制プログラムで授業は英語で実施
- 知的好奇心と探究心を持つ人が求められる

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東京大学のカレッジオブデザイン学部とは?

東京大学のカレッジオブデザイン学部は、社会の仕組みそのものを「デザイン」の対象とする新しいコンセプトの学部です。
文系・理系といった従来の枠を超え、より良い未来を創造するための方法論を、分野横断的に学びます。

約70年ぶりの新学部

カレッジオブデザイン学部は東京大学が約70年ぶりに新設する、2027年9月開設予定の全く新しい学部です。カレッジオブデザイン学部のミッションは、複雑化する社会の課題を解決し、より良い未来を創造することです。その担い手となる「チェンジメーカー」となる人材を育成することを目指しています。
カレッジオブデザイン学部が掲げる「デザイン」とは、単にモノの形や見た目を美しく整えることだけを指すのではありません。社会が抱える問題の根本原因を探り、その解決策として新しい社会システムやサービスを構想・構築します。さらに、未来そのものを形づくることまで含めた、広義の活動を意味しているのです。
そのため、入試制度も従来の筆記試験を課さない「グローバル入試」が採用されています。書類選考や面接などを通して、受験生の資質や経験、探究心などが多角的に評価される予定です。
募集は2026年秋から開始予定

カレッジオブデザイン学部の第一期生の募集は、2026年秋に開始される予定です。定員は約100名で、そのうちの半数にあたる約50名は外国人学生の枠です。国際的な学習環境が用意されています。

世界中から多様なバックグラウンドを持つ学生が集まるため、キャンパスでは日常的に様々な言語や文化が飛び交うことになります。
このような学習環境は、グローバルな視点を養います。将来、世界を舞台に活躍する「チェンジメーカー」を目指す学生にとって、最高の学びの場となるでしょう。
募集開始はまだ先ですが、興味のある人は、今のうちから大学の公式発表をこまめにチェックしておくことをおすすめします。
東京大学・カレッジオブデザイン学部の特徴5つ
ここからはカレッジオブデザイン学部の特徴を、5つにまとめて解説します。
東京大学のカレッジオブデザイン学部には、これまでの日本の大学にはなかったユニークな特徴があります。未来のチェンジメーカーを育成するため、カリキュラムや学習環境に様々な工夫が凝らされているのです。
参考:UTokyo,Design,UTokyo College of Design,東京大学,デザイン,カレッジ・オブ・デザイン,新学部
特徴1:学士・修士一貫の5年制プログラム

学士と修士の課程を統合した5年制プログラムである点はカレッジオブデザイン学部の大きな特徴です。通常の大学では学部4年間と大学院修士課程2年の計6年が必要です。しかし、カレッジオブデザイン学部では最短5年で学士号と修士号の両方を取得できます。
5年で学士号と修士号の両方を取得することにより、学生は早い段階から専門性を高められます。そして、じっくりと研究やプロジェクトに没頭することができるのです。
カレッジオブデザイン学部では、学部と大学院の垣根なく、一貫した教育を受けられます。そのため学びの連続性が保たれ、より深いレベルでの知識と実践力を身につけられます。
特徴2:全ての授業を英語で実施

全ての授業が英語で行われる点も、カレッジオブデザイン学部の特徴です。講義や学生間のディスカッションから課題やプレゼンテーションまで、全ての教育活動が英語で統一されているのです。
これは、カレッジオブデザイン学部が世界中から集まる優秀な学生や教員と共に、国際的な環境で学ぶことを前提としているためです。
入学時期も世界標準である9月入学制度を導入しています。グローバルな舞台で活躍するチェンジメーカーを目指す上で、高い英語力は不可欠です。入学後の学びを充実させるには、英語の4技能をバランス良く鍛えておくことが重要になります。
英語力を示す資格として英検の取得を考えている人は、次の記事も参考にしてください。

特徴3:分野横断型のカリキュラム

分野を横断して学べる学際的なカリキュラムも、カレッジオブデザイン学部の大きな特徴です。カレッジオブデザイン学部では、文系・理系という従来の枠組みを取り払っています。そのため学生は、東京大学が持つ10学部の幅広い学術分野から、自らの興味に応じて自由に学べるのです。
特に、カリキュラムの核として、次の5つの学際的テーマが設定されています。
- サステナビリティとウェルビーイング
- 人工知能とデータサイエンス
- ガバナンスとデモクラシー
- 建築と都市
- 哲学と倫理
これらの多様な視点を通して、複雑な社会課題を多角的に捉える力を養います。そして、新しい解決策をデザインする能力を身につけていくのです。
特徴4:国内外での実践的な体験学習

国内外で実践的な体験学習ができることも、カレッジオブデザイン学部の大きな特徴です。中心となるのが、最大1年間参加できる「Off-Campus Experience」です。
Off-Campus Experienceは、キャンパスの外に飛び出し、実社会で学ぶことを目的としたプログラムとなっています。
例えば、海外の大学への交換留学や、国内外の企業でのインターンシップなどが用意されています。NPOや国際機関でボランティアとして活動することも可能です。
教室で得た知識を現実の社会で応用する経験を通して、生きた知恵と行動力を身につけることが期待されています。
特徴5:初年度は全寮制

カレッジオブデザイン学部の大きな特徴に、初年度の全寮制が挙げられます。1年次生は全員が「東京大学目白台インターナショナル・ビレッジ」に入寮し、共同生活を送ります。
インターナショナル・ビレッジには、世界中から集まった多様な文化的背景を持つ仲間たちが暮らすことになります。
国籍や文化の異なる仲間と寝食を共にし、日常的に対話を重ねます。こうした経験が、グローバルなコミュニケーション能力や協調性を育む上で非常に重要となるのです。
1年間の寮生活は、住居の提供ではありません。チェンジメーカーとして不可欠な人間性を養うための、重要な教育プログラムの一環として位置づけられています。
東京大学のカレッジオブデザイン学部入学に求められる人物像
ここからは、カレッジオブデザイン学部の入学に求められる人物像を3つにまとめて解説します。
カレッジオブデザイン学部では、学力だけでなく、個人の資質や経験も重視した人物本位の選抜が行われます。そのため入試では、出願書類や面接を通して、これまでの活動や将来性などが多角的に評価されるのです。
参考:UTokyo College of Design (令和 9(2027)年 9 月開設予定) 令和 9(2027)年度入学者選抜の概要
知的好奇心と探究心を持つ人

カレッジオブデザイン学部が求める最も重要な資質の一つは、旺盛な知的好奇心と尽きることのない探究心です。
カレッジオブデザイン学部での学びは、常に「なぜ?」と問い続けることから始まるからです。既存の知識を鵜呑みにするのではなく、物事の本質を自らの力で見極めようとする姿勢が、未来をデザインする上での出発点となります。
次のような例が挙げられます。
- 学校の授業で習ったことに対して「本当にそうなのだろうか?」と疑問を持つ
- 普段何気なく使っているスマートフォンの仕組みに興味を持ち、自分で調べる
- 地域の歴史や文化について、図書館で資料を探したり、地元の人に話を聞きに行ったりする
重要なのは、誰かに言われたからやるのではなく、自らの内から湧き出る「知りたい」という欲求に従って行動していることです。
あらゆる物事を学びの対象と捉え、自らの手で真理を探究できる人こそ、カレッジオブデザイン学部が求める人物像です。
社会課題への強い問題意識を持つ人

自らが暮らす社会や世界が抱える課題に強い関心を持ち、それを解決したいと行動する人もカレッジデザインでは求められています。
カレッジオブデザイン学部のミッションは、より良い未来を創造する「チェンジメーカー」の育成です。そのため、自分の学びを個人的な満足で終わらせず、社会のために役立てたいという利他的な精神が、全ての学生に期待されているのです。
具体的には、下記のような社会問題と問題意識をイメージしましょう。
- ニュースで見た気候変動の問題を、自分の地域の異常気象と結びつけて考える
- フードロス問題を解決するために、学校の文化祭で食べ残しを減らすキャンペーンを企画・実行する
- 通学路のバリアフリーについて課題を感じ、改善策を考えて自治体に提案する
身の回りの小さな「おかしいな」を見過ごさず、その原因と解決策を主体的に考える姿勢が大切です。
社会の一員としての当事者意識を持ち、より良い社会の実現に向けて情熱を傾けられる人が求められています。
仲間と協働できるコミュニケーション能力がある人

多様な仲間と協力して新たな価値を創造する、高度なコミュニケーション能力と協働性を持った人も評価されます。
現代社会が抱える複雑な問題は、一人の天才のひらめきだけでは解決できないからです。異なる背景や専門性を持つ人々が対話し、それぞれの知識や視点を組み合わせることで初めて、革新的な解決策への道が拓けます。
まずは、自分の意見を分かりやすく伝えられることが大切です。さらに相手の意見を真摯に聞き、その背景にある考えや価値観を理解しようと努める傾聴力が求められます。
文化祭の準備で意見が対立した際を想定してみましょう。一方的に主張するのではなく、双方の意見の利点を整理し、誰もが納得できる第三の案を提示した経験などが挙げられます。
自分とは違う考えにこそ、新たな発見のヒントが隠されていると信じ、対話を楽しめる力が評価されます。
個人の能力を最大限に発揮しつつ、チーム全体の成果を高めることに貢献できる協働性は、チェンジメーカーにとって必須の能力なのです。
東京大学・カレッジオブデザイン学部の受験対策
カレッジオブデザイン学部の受験対策は、早めに準備をすることが合格の鍵を握ります。カレッジオブデザイン学部では、一般的な筆記試験がないグローバル入試です。
学力だけでは測れない資質や経験、思考力が問われるからこそ、日々の活動や学習の中で意識的に対策を積み重ねていくことが重要です。
ここからはカレッジオブデザイン学部の受験に向けた対策方法を、3つにまとめて解説します。
課題活動の実績を作る

探究学習や課外活動などを通して、自分だけの「課題活動の実績」を作りましょう。
カレッジオブデザイン学部の入試では、出願書類で「あなたがこれまで何をしてきたか」が非常に重視されるからです。単に活動の名称を羅列するのではありません。活動の中でどのような課題意識を持ち、どう考え、どう行動したのかというプロセスが評価の対象となります。
学校の探究学習でSDGsに関するテーマを選んだなら、下記の点を、具体的に説明できるように整理しておきましょう。
- なぜそのテーマに興味を持ったのか
- どのような仮説を立て、どう検証したのか
- 活動を通して何を学び、次にどう活かしたいか
部活動やボランティア、生徒会活動なども同様です。活動の大小は関係ありません。自分なりの目的意識を持って主体的に取り組んだ経験こそが、アピール材料になるのです。
日々の活動の一つひとつに意味を見出し、その経験を自分の言葉で語れるように準備しておくことが、合格への第一歩です。
活動実績がなく、これからどうしたらよいかわからない人は次の記事を参考にしてください。実績がなくても合格する手順を紹介しています。

社会課題に関して自分の意見を持つ

国内外の社会課題について、自分なりの意見や考えを深めておくことも欠かせない対策です。
面接やエッセイなどで、あなたの問題発見能力や思考力が試されるためです。チェンジメーカーには、社会で起きている事象を多角的に捉え、その本質的な課題は何かを見抜く力が求められます。
日頃から新聞やニュース、信頼できるウェブサイトなどに目を通し、関心を持ったテーマについて考えましょう。
例えば「なぜプラスチックごみは減らないのか?」「どうすれば地域の過疎化を止められるのか?」といった問いを立てます。そして、その原因は何か、どのような解決策が考えられるか、自分ならどうするか、という思考をノートに書き出すなどして整理する練習を推奨します。友人や家族と議論してみるのも良いでしょう。
知識をインプットして社会課題に対して自分なりの視点を持つ訓練をしておくことが、他の受験生との差別化につながります。
聞く・読む・書く・話すの英語4技能を身につける

カレッジオブデザイン学部での学びを最大限に活用するため、実践的な英語4技能を高いレベルで身につけておくことも対策のひとつです。
カレッジオブデザイン学部では、全ての授業・ディスカッション・課題が英語で行われます。英語力は単なる入試の評価項目ではなく、入学後の学習そのものを左右する生命線となるからです。「英語を学ぶ」のではなく「英語で学ぶ」ことが前提となります。
下記の練習が効果的です。
- 海外のニュースサイトや学術的な記事を読んで要約する「読む・書く」
- オンライン英会話などを通して自分の意見を述べる「話す」
- 英語の講義を視聴して理解する「聞く」
資格試験のスコアも目標になります。しかしそれ以上に、自分の考えを英語で表現し、他者と対話できる「使える英語力」を意識してトレーニングすることが大切です。
高度な英語4技能をバランス良く鍛えておくことが、カレッジオブデザイン学部への合格、そして入学後の成功に直結するのです。
東京大学のカレッジオブデザイン学部によくある質問
最後に、東京大学のカレッジオブデザイン学部へよくある疑問にまとめて解説します。
まだ公開されていない情報も多いため、最新の情報は必ず大学の公式サイトで確認するようにしてください。
参考:UTokyo College of Design (令和 9(2027)年 9 月開設予定) 令和 9(2027)年度入学者選抜の概要
一般選抜や他の総合型選抜との併願は可能ですか?

2025年8月現在、一般選抜や他の総合型選抜との併願の可否については、まだ正式に発表されていません。
詳細な募集要項は、2026年秋頃に大学の公式サイトで公開される予定です。併願に関するルールは、合否やその後の進路に大きく影響する非常に重要な情報となります。
そのため、他の受験生の噂や憶測に惑わされず、必ずご自身で大学が発表する一次情報を確認するようにしてください。推薦入試の併願ルールは複雑なため、早めに理解を深めておくことをおすすめします。
なお、他の大学の総合型選抜における併願ルールについて知りたい人は次の記事も参考にしてください。

卒業後の進路はどのようなものがありますか?

カレッジオブデザイン学部では、卒業生が特定の職業に就くことを想定していません。むしろ、学生一人ひとりが自らの手で、未来の職業を創り出していくことを期待しています。
大学が公式に示している進路のイメージとしては、まず社会課題をビジネスで解決する「起業家」が挙げられます。また、NPOや国際機関などで活躍する「社会セクターのリーダー」や、大企業・スタートアップの中で変革を主導する人材も想定されています。
これらはあくまで一例です。分野横断的な学びと実践で得た力を活かし、今はまだ存在しない新しい価値を社会に生み出すことこそが、卒業生に最も期待される役割です。
教員はどのような人ですか?

カレッジオブデザイン学部の教員陣は、世界中から集められた、多様な分野の第一人者で構成される予定です。
学部長に就任予定なのは、マイルス・ペニントン教授です。ペニントン教授は、デザイン分野で世界的に名高いイギリスのロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)で長年教鞭をとり、教育プログラムを率いてきた実績を持ちます。
ペニントン教授のもと、特定の学問分野に偏らない、真に学際的な教育を実現するための教員が世界中から招聘されます。学生は、各分野の最前線で活躍するプロフェッショナルから、生きた知識とインスピレーションを得ることができるでしょう。
まとめ
本記事では、2027年9月開設予定の東京大学「カレッジオブデザイン学部」を解説しました。約70年ぶりの新学部で、5年制一貫・全授業英語・分野横断型のカリキュラムが特徴です。
求める人物像は、強い探究心と社会課題への意識、協働性を備えた学生です。入試は筆記試験がなく、活動実績や英語力、思考力が問われるため、早期からの対策が重要となります。
未来の社会をデザインする「チェンジメーカー」を目指す皆さんの挑戦を、応援しています。
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