この記事では、総合型選抜におけるグループディスカッション試験の対策手順を解説します。
「総合型選抜のグループディスカッションはどんな試験なんだろう?」
「大学ごとで内容が違ったりするのかな…」
総合型選抜にグループディスカッションの試験があると聞き、何を話すのか、どう評価されるのかなどがあいまいな人は多いですよね。
総合型選抜のグループディスカッション試験では、論理的思考力や協調性・タイムマネジメント力などが評価されます。試験で高評価を得るには、具体的な対策が必要です。
そこで本記事では実施例も交え、総合型選抜におけるグループディスカッション試験の特徴を解説します。役割ごとの対策方法も解説するので、ぜひ参考にしてください。
- グループディスカッションではグループで話し合い結論を導く
- グループディスカッションには自由討論型と討論型がある
- 司会、書記、タイムキーパーや発表者の役割ごとの対策が重要
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総合型選抜におけるグループディスカッションとは
総合型選抜におけるグループディスカッションは、グループで議題について話し合い、結論を導く試験です。
グループディスカッションでは、論理的思考力・協調性・リーダーシップや役割遂行能力が評価されます。議論を通じて、個人の意見だけでなく、チームとしての成果を試験官に示す機会となります。
ここからは、グループディスカッションの詳細をより詳しく解説します。
- グループディスカッションの形式
- グループディスカッションの流れ
グループディスカッション以外の総合型選抜の試験内容をより知りたい人は、次の記事も参考にしてください。
グループディスカッションの形式
総合型選抜試験で行われるグループディスカッションには、主に自由討論型とディベート型の2つの形式があります。
「地域の活性化をどう進めるべきか」のようなテーマに対して意見を出し合い、全員で結論を導き出す形式です。協調性やアイデアを調整する力、他者の意見を尊重しながら議論を進める能力が評価ポイントです。
過去問などを活用して試験の形式に応じた対策をすることで、合格に近づきます。
グループディスカッションの流れ
総合型選抜のグループディスカッションは、基本的に次の流れで進みます。
テーマが提示され、発表形式が説明されます。テーマを理解し、チームで共通の認識を持つことが重要です。
グループ内で挨拶と自己紹介をします。得意分野や意気込みを伝えて良い印象を与えましょう。
司会・書記やタイムキーパーなどの役割を決めます。議論の時間配分もこの段階で決めることが多いです。
意見を出し合い、分析しながら議論を深め、結論を出します。
グループごとに結論を発表します。議論の過程や理由を説明し、わかりやすく伝えることが重要です。
グループディスカッションは、テーマの理解から発表まで全てのステップが評価対象です。各ステップの位置付けと全体の流れを理解して臨みましょう。
総合型選抜におけるグループディスカッション試験の実施例
グループディスカッションの形式や流れは理解できたものの、実際にどんな試験なのか、イメージが湧かない人もいますよね。
そこで、ここからは大学別に総合型選抜におけるグループディスカッション試験の実施例を紹介します。
- 立命館大学・政策科学部の場合
- 東京大学・法学部の場合
- 福岡女子大学・国際教養学科・食・健康学科の場合
立命館大学・政策科学部学部の場合
立命館大学のグループディスカッションでは、第1次選考で使用された講義資料や内容がもとになります。
資料を基に具体的なデータや知識を織り交ぜて発言することで、説得力が高められます。講義内容を復習しておきましょう。
テーマ | 格差是正のためには何をすべきか |
時間 | 60分程度 |
人数 | 7~8人※ |
評価のポイント
個人面接では政策科学部への志望動機や学びの関心度、興味などについて、応答から評価しました。グループ・ディスカッションでは第1次選考での講義資料や内容を踏まえた内容の発言ができているか、論理的・客観的な発言ができているか、独り善がりではなく他の人の発言内容も踏まえつつ発言ができているか、議論の流れや目的を意識した発言ができているかなどを評価しました。
引用:2024年度(総合型選抜)AO選抜入学試験 政策科学部「政策科学セミナー方式」
東京大学・法学部の場合
東京大学のグループディスカッションは、議題提示の際に長文の資料を読み込むことが特徴です。
資料にはテーマに関する背景や具体的な課題が詳細に記載されています。試験官は、受験生の資料分析力も評価しているのです。議論の際には、資料から得られる情報をもとに課題を整理し、解決策を提示する力が求められます。
テーマ | 花火大会の開催について※ |
時間 | 80分 |
引用:令和6年度東京大学学校推薦型選抜(法学部)グループ・ディスカッション課題
福岡女子大学・国際教養学科、食・健康学科の場合
福岡女子大学のグループディスカッションでは、テーマの利益と問題、具体的な問題解決策を議論します。
議論の焦点は、1つ目の問いを整理し、2つ目の問いでその問題に対する現実的な方策を提案することです。形式上、課題は複数段階で構成されており、各段階で論理的な思考力と具体的な提案力が求められます。
テーマ | 生成AI |
時間 | 90分 |
総合型選抜のグループディスカッションで評価される5つのポイント
ここからは、総合型選抜におけるグループディスカッション試験で評価されるポイントを、5つにまとめて紹介します。
- 議題に対する基礎知識の有無
- 論理的思考力
- リーダーシップ
- 協調性
- タイムマネジメント力
ポイント1:議題に対する基礎知識の有無
グループディスカッションでは、議題に関する基礎知識が重要です。
知識が不足していると積極的に発言できず、受動的な印象を与える可能性があるからです。議題についての理解が深ければ、意見に説得力が増し、議論の流れをリードすることもできます。
例えば、環境問題がテーマの場合、再生可能エネルギーや脱炭素化に関する知識があると役立ちます。事前にテーマに関連する情報を調べ、自分なりの意見を整理しておくことがポイントです。準備ができていることで、自信を持って議論に参加できます。
日頃から幅広い分野に興味を持ち、ニュースや社会問題に関心を持つことが、ポイントです。
ポイント2:論理的思考力
グループディスカッションでは、自分の意見を論理的に組み立て、分かりやすく伝える力が評価されます。
意見を述べる際には「結論→理由→具体例」の順で話を展開しましょう。受け手にとって理解しやすくなります。
例えば「公共交通の無料化が必要」という意見を述べる場合で考えます。「移動コストを削減すると格差が緩和されるから」という理由を根拠として示すことで、説得力が増します。逆に、根拠を示さずに発言を行うと、説得力を欠き、議論の流れを妨げることにもなりかねません。
日頃から多角的に物事を考え、情報やデータをもとに結論を導き出す練習をしましょう。論理的思考力を高め、試験での発言がより評価されるものになります。
ポイント3:リーダーシップ
グループディスカッションでは、リーダーシップも重要な評価ポイントです。試験官は、受験生がグループ全体を導き、議論を円滑に進める力を持っているかどうかを重視しています。
リーダーシップとは、自分の意見を押し通すことではありません。他のメンバーの意見を引き出し、全員が議論に貢献できる環境を作る能力を指します。
議論が停滞したときには、新しい視点を提案しましょう。また、発言しにくそうなメンバーに「どう思いますか?」と声をかけることも効果的です。グループ全体の連携を深める姿勢をアピールできます。
リーダーシップは、どの役割でも発揮可能です。積極的にグループの成功に貢献しようとする姿勢が評価につながります。
ポイント4:協調性
グループディスカッションでは、協調性も重要な評価ポイントの一つです。
協調性は、チームで課題を解決する力が求められる場面で欠かせない能力だからです。試験官は、他のメンバーと協力して議論を進める姿勢を見て、チームの成功に貢献できるかを見極めています。
議論の中では、他のメンバーの考えを理解し、それを基に意見を出す柔軟性が求められます。異なる意見が出た場合、より良い方向性を示す発言ができれば、議論全体を前進させることが可能です。
さらに、全員が積極的に意見を出しやすい雰囲気を作ることも重要です。議論の中で調和を図り、積極的に議論を進めることで、高い評価を得ることができます。
ポイント5:タイムマネジメント力
グループディスカッションでは、限られた時間内で議論を進め、結論を導き出すことが求められます。議論の内容がどれほど優れていても、時間内にまとまらなければ評価を得ることは難しいからです。
タイムマネジメント力を発揮するには、議論の段階ごとの時間配分を把握し、進行を調整する必要があります。例えば、冒頭で役割分担や意見交換に時間をかけすぎないよう注意します。
議論が脱線した際には要点をまとめて話を戻す行動が求められます。時間が足りない場合でも焦らず、意見を簡潔にまとめて議論の収束を図る力が必要です。
事前に模擬ディスカッションを通じて時間管理の練習を重ねることで、本番でも自信を持って対応できます。
【役割別】総合型選抜におけるグループディスカッションの対策方法
総合型選抜におけるグループディスカッションでは、役割を設定して進められます。そこでここからは、役割別にグループディスカッションの対策方法を解説します。
- 司会(ファシリテーター)
- 書記
- タイムキーパー
- 発表者
司会(ファシリテーター)
司会(ファシリテーター)は、議論を円滑に進行し、全員が発言しやすい環境を整える役割です。この役割を担うことで、リーダーシップと協調性をアピールするチャンスにもなります。
司会者は、全員の意見を引き出し、議論を活性化させることが求められます。また、議論をスムーズに進めることが重要です。意見の衝突が発生した際には、双方の意見をまとめて新たな解決策を提示する柔軟性も試されます。
司会は、議論全体をまとめる責任を担うため、学級会などで積極的に進行役としてのスキルを磨きましょう。
書記
書記は、議論の内容を整理し、重要なポイントを記録する役割です。発言を的確に捉え、要点を簡潔にまとめる力が求められます。
記録した情報をもとに議論の流れを整理し、全員が共通認識を持てるようサポートしましょう。冷静さや論理的思考力をアピールできます。
書記は、発言を記録するだけではありません。議論が停滞しそうなときには内容を要約して共有し、次の議論につなげましょう。また、議論の結論を発表する際には、記録をもとに発表者がスムーズに話せるようにします。
書記は目立つ役割ではありませんが、議論全体を支える重要な役割です。情報整理力と要約力を活かし、チームの成功に貢献することで、高評価を得られます。
タイムキーパー
タイムキーパーは、議論が制限時間内に収まるよう進行を管理します。効率的なタイムマネジメント能力が求められ、議論全体を俯瞰して進行する力をアピールできます。
議論の各段階において適切な時間配分を意識し、必要に応じて議論のペースを調整しましょう。議論が長引きそうなときには、要点をまとめる提案を行い、結論に向けて話を進めるサポートをします。
タイムキーパーの役割は、チームの議論の成功を左右する大きな要素です。効率的な進行管理を行うことで、グループ全体の生産性を高められます。タイムキーパーを担うことで、タイムマネジメント能力とリーダーシップの両方をアピールできるのです。
発表者
発表者は、議論の内容を整理し、チームの結論を最後に発表する重要な役割を担います。要点を簡潔にまとめる力と表現力が評価されます。
発表者になった場合、議論の結論を明確にし、それに至るまでのポイントを順序立てて説明しましょう。議論の中で出た重要な意見やチームで合意した内容を簡潔に伝えることで、説得力を持たせることができます。また、発表では言葉遣いや抑揚を意識し、聞き手にわかりやすく伝える工夫が必要です。
さらに、チーム全体の成果として結論を発表する姿勢も重要です。チームの代表として責任を持って議論の過程と内容を伝えることで、評価を得られます。
まとめ
総合型選抜のグループディスカッションでは、各役割をきちんと遂行することが評価のポイントです。
司会は議論を円滑に進め、書記は発言内容を整理し、タイムキーパーは時間管理を担います。発表者は議論の結論を簡潔かつ分かりやすく伝えます。どれも、リーダーシップ、協調性や論理的思考力を発揮する役割として重要です。
それぞれの役割に応じた準備と練習を重ねることで、自分の能力を最大限にアピールしましょう。