総合型選抜(旧AO入試)のプレゼンテーション試験を対策する全手順

総合型選抜(旧AO入試)のプレゼンテーション試験を対策する全手順

この記事では、総合型選抜におけるプレゼンテーション試験の対策手順を解説します。

「総合型選抜のプレゼンテーション試験はどんな感じなんだろう?」
「試験に向けてどんな対策をすればいいのかわからない…」

総合型選抜を受けようと考えてはいるものの、プレゼンテーション試験のイメージが湧かず、どう対策を進めればいいのかわからない人は多いですよね。

総合型選抜におけるプレゼンテーションは、指定された課題に対して自分の意見を具体的に伝える試験です。プレゼンテーションの内容や実際の話し方で評価が決まります。

そこで、本記事では体験談や実施例も交え、総合型選抜におけるプレゼンテーション試験の特徴を解説します。プレゼン内容の作り方や話し方のポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

この記事の要約
  • プレゼンテーションは総合型選抜において評価比重が高い
  • プレゼンテーションの作り方は、問題の明確化・資料分析・考察が重要
  • プレゼンテーションでは、話し方や作成する資料も重要

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目次

総合型選抜におけるプレゼンテーション試験の基礎知識

はじめに次のトピック別で、総合型選抜のプレゼンテーション試験に臨むうえでおさえておきたい基本情報を解説します。

  • プレゼンテーションとは
  • 評価比重
  • 評価のポイント

なお、総合型選抜におけるプレゼンテーションは、小論文や面接と同じように合否に影響する重要な要素です。万全な対策を行うことで、大学側によいアピールができます。

プレゼンテーションとは

プレゼンテーションとは、複数の聴き手に対して、自分の意見を伝えることです。相手に伝わるように内容や構成を考え、資料を作成し、話し方を工夫する力が重要となります。

たとえば、大学は次のような能力を確かめるため、プレゼンテーション試験を取り入れています。

  • 問題をとらえる力
  • 相手が求めていることを把握する力
  • 多数の情報の中から必要なものを選別する力
  • 取得した情報から自分で考える力

プレゼンテーション試験では、出題される課題から問題点を見い出し、正しく情報収集をして、自分の意見を述べることが重要です。

評価の比重

総合型選抜におけるプレゼンテーション試験の評価比率は高いです。なぜなら、プレゼンテーションを実施することで、受験生の学びに対する意欲や能力を判断するためです。

たとえば、拓殖大学ではプレゼンテーションによって人物評価を行う「プレゼンテーション型入試」を取り入れています。総合型選抜の評価300満点中、150点がプレゼンテーション・面接で配点されています。

青森大学・薬学部では、調査書などの書類審査より、プレゼンテーションの方が評価の比率が高いです。

プレゼンテーション試験を実施する大学では、プレゼンテーション試験の対策を万全にする必要があります。

評価のポイント

総合型選抜におけるプレゼンテーション試験では、次のような点が評価のポイントになります。

  • 課題に対する答えの明確さ
  • プレゼン資料は論理的に構成されているか
  • プレゼン資料はグラフや図を活用し簡潔に作成されているか
  • 自信を持って発表できているか

総合型選抜におけるプレゼンテーション試験では、受験生が問題を的確に理解し、自分の意見や解決策を示す能力を評価します。自分の考えを論理的に示すために、構成や資料も評価の対象となります。

また、コミュニケーション能力やプレゼン内容の理解度をはかるために、発表態度も重要です。プレゼンテーション試験では、読解力・思考力・判断力・表現力などが評価のポイントとなります。

総合型選抜におけるプレゼンテーション試験の実施例

ここからは、総合型選抜におけるプレゼンテーション試験の実施例を紹介します。なお、総合型選抜のプレゼンテーション試験は大学のような大学で実施されています。

実際にどのような内容でプレゼンテーション試験が行われているのか、次の3つの大学を例に詳しく紹介します。

  • 日本大学
  • 立命館大学
  • 明治大学

実施例1:日本大学・国際関係学部の場合

日本大学・国際関係学部では、1次審査書類である課題論文と探究活動報告書の内容をプレゼンテーション試験のテーマとしています。

あなたが今までに行った探究活動の中で、本学部の志願と関連するテーマを選び、テーマとそのテーマを設定するに至った背景、実際に行った活動、得られた結果や学び等を説明してください。そのうえで、その探究活動を通して得られた学びを本学部での学びや将来設計にどのように活かすか具体的に記述してください。

参考:日本大学・国際関係学部

プレゼンの制限時間は10分です。自己紹介や志望動機を含めた内容でプレゼンテーションを行います。

なお、プレゼンテーション試験では下記を評価すると明記してあります。

  • 理解力
  • 客観性
  • 独自性
  • 表現力
  • 構成
  • 態度・姿勢

実施例2:立命館大学・経済学部の場合

立命館大学・経済学部では、プレゼンテーション試験が実施されています。2024年度のテーマは学部に関連する内容でした。

経済に関連する事柄について、関心のあるものをテーマとして 1つ選び、以下を合計 800 字程度で記載。ア 上記のテーマを選んだ理由を示したうえで、その内容に関してデータをふまえながら具体的に説明。(図表添付などあり。)イ その事柄に関するあなたの考えを論理的に説明。

参考:立命館大学2024年度(総合型選抜)AO選抜入学試験

プレゼンの制限時間は5分で、プレゼン後に15分の個人面接があります。個人面接では、プレゼンテーションに関する質疑がされます。

立命館大学におけるプレゼンテーション試験の出題意図は、次のとおりです。

限られた時間内で、エビデンスに基づいて論理的に自分の言葉で分かりやすく伝える力、コミュニケーション能力を確認する

参考:立命館大学2024年度(総合型選抜)AO選抜入学試験

立命館大学におけるプレゼンテーション試験の評価のポイントは、次のとおりです。

  • 制限時間内で、分析内容に対する問いを示すこと
  • 適宜データを用いて結論に至る論理をわかりやすく説明すること

入試結果の解説では、「結論ありきでデータから読み取れない内容のプレゼンテーションも散見された」と記載があります。データを読み取る力が重要なことがわかります。

実施例3:明治大学・農学部の場合

明治大学・農学部では、プレゼンテーション試験を実施しています。テーマは「地域農業振興における私のプランと学生生活」です。

プレゼンの制限時間は10分で、プレゼン後に30分の面接があります。面接では、プレゼンテーションの内容を踏まえ、人柄や志望動機、学習意欲等を中心に質問されます。

2025年度明治大学農学部入試要項
出典:明治大学

明治大学におけるプレゼンテーション試験の評価項目は、単に知識だけでなく、思考力・判断力・表現力が重視されます。

参考:2025年度明治大学農学部入試要項

総合型選抜におけるプレゼンテーション試験の体験談

総合型選抜に合格した人が、実際にプレゼンテーション試験へどのような対策をしていたのか知ることで、効率よく受験準備が進められます。

ここでは、兵庫教育大学の総合型選抜に合格した体験談を紹介します。

兵庫教育大学のプレゼンテーション試験では、プレゼンテーション用に持参した資料を用いて、面接官に口頭で行う形式です。資料はA4用紙、片面3枚以内で作成し、制限時間は10分です。

次の3点に注目して、プレゼンテーション試験の体験談を3人紹介します。

  • プレゼン資料の作成方法
  • プレゼン資料の作成で工夫したこと
  • プレゼンテーション試験の練習方法
プレゼンテーション資料パワーポイントで作成(A4 用紙、片面3枚)
資料作成で工夫したことわかりやすいように写真をたくさん添付した
プレゼンテーションの練習方法興味をひく話し方ができるよう、抑揚、テンポ、間の取り方を重点的に練習した。8月から試験日まで、毎日のようにプレゼンの練習をした。担任の先生、塾の先生、両親、友だちに見てもらってアドバイスをもらった。スマホの録音アプリを活用した。

プレゼンテーション試験の準備では、資料の作り方や話し方の練習など、人によってさまざまな対策をしています。自分にあった方法で、プレゼンテーション対策を進めることが大切です。

総合型選抜試験に合格した受験生の体験談をより詳しく知りたい人は、次の記事を参考にしてください。

総合型選抜試験におけるプレゼン内容の作り方

ここからは、総合型選抜試験におけるプレゼン内容の作り方を、3つのポイントにまとめて解説します。

  • テーマにおける問題を明確にする
  • 根拠となる資料やデータを分析する
  • 自分の意見をまとめる

なお、今回は文教大学の資料を参考に作り方を解説します。

1.テーマにおける問題を明確にする

はじめに、大学が出題する課題の問題を明確にすることが重要です。課題を深掘りし、考えられる問題点を導き出し、どんな解決策があるかを調べます。

たとえば、次のような課題テーマから、自分が考える問題点を導き出します。

  • 課題テーマ:「グローバル化の道を歩んできた日本の観光を今後も発展させていくための方法と課題」
  • 自分の考え:「訪日外国人観光客の日本での不便・不満が日本の観光業の課題としてあるのではないか?」

テーマにおける問題点を明確にできないと、「いったい何を伝えたいのか」がわからなくなります。問題点があやふやなままでは、具体的な解決策を導き出すこともできません。

プレゼンテーション試験でまず重要なのは「どんな問いを立てたか」ということです。出題テーマは学部に関連する時事問題の内容から出されることも多く、日頃から時事問題に意識を向けておくことが必要です。

問題点が明確になったら、資料やデータを収集・分析します。

2.根拠となる資料やデータを分析する

次に、課題から導き出した問題点を明確にするために、根拠となる資料やデータを収集・分析することが重要です。資料やデータを収集する場合は、信頼の高い情報源から収集することが大切です。

たとえば、新聞・書籍・国の調査(厚生労働省・文部科学省など)信頼度の高い情報源が推奨されます。

観光庁
出典:観光庁

上記に課題としてあげた「訪日外国人観光客の日本での不便・不満」に対しては、観光庁の調査結果が活用できます。観光庁の調査結果から「多言語表示の少なさ・わかりにくさ」が原因であることに注目でき、問題点の明確化につなげられます。

資料やデータの収集が不十分だと、説得力が低くなり評価が下がるおそれが高いです。特にネットだけの情報だと信頼性の低い情報や偏った意見もあります。

情報収集するときは、図書や新聞など多くの資料を活用し、記事を比較することが大切です。

3.自分の意見をまとめる

最後に、情報収集の結果から、自分なりの仮説を立てることが重要です。大学側が一番知りたいのは受験生の意見です。ただ調査結果を報告するのではなく、自分の考察を深めていく必要があります。

たとえば、上記の調査結果「多言語表示の少なさ・わかりにくさ」から「多言語表示がないことで、公共交通機関が使いにくいのでは?」という仮説が立てられます。

自分が立てた仮説が正しいのかを検証することも必要です。調査検証をした結果から、次のように解決策を提案してまとめます。

  • 公共交通機関や観光案内板に表示する言語を増やす
  • 外国人でもすぐに理解しやすいピクトグラムなどの視覚記号を導入する

プレゼンテーション試験では、ただ調べたことを書くだけでは意味がありません。調べたことに基づいて、「自分は何を考えたのか」が重要です。「Aについて調べてみたらBという結果でした」という報告型で終わらないように注意しましょう。

プレゼンテーションの作り方では、テーマから問題点を探り、情報収集した結果から、自分の意見をまとめることが重要です。

総合型選抜のプレゼンテーション試験で話す3つのコツ

ここからは、総合型選抜のプレゼンテーション試験で話すときのコツを、3つにまとめて説明します。

  • PREP法で説明する
  • ゆっくりはっきり時間厳守で話す
  • 視覚的な資料を用意する

プレゼンテーションでは、相手にわかりやすく説明することが重要です。

コツ1:PREP法でわかりやすく説明する

プレゼンテーション試験では、PREP法で説明します。PREP法は、プレゼンテーションにおいて自分の意見を論理的に伝えるための効率的な方法です。

PREP法とは次の順番に文章を組み立てます。

  • 結論
  • 理由
  • 具体例
  • 結論

結論をはじめに述べてから、理由と具体例を示し、最後に再び結論を強調することで、相手に論理的に説明できます。

たとえば、PREP法は次のような話し方です。

  • 私はチームワークが重要だと考えます。
  • なぜなら、チーム全員が協力することで、効率的に問題を解決できるからです。
  • 例えば、メンバーそれぞれが異なる分野の専門知識を持ち寄ることで、課題をスムーズに解決できます。
  • だから、チームワークを大切にすることは、成功するために非常に重要です。

一方、PREP法を使わないと、次のような話し方になります。

「チームワークは、いろいろな人と協力してやるものです。実際に私のチームでも、みんなが知識を持ち寄ってるので、仕事がスムーズに進んでいます。チーム全員が協力することで、効率よくできて、いろんな意見も出せるから、問題を解決できます。だから、チームワークは大事だと思います。」

PREP法を使わず、思いつくままに話してしまうと「結局何が言いたいのかわからない」状態で終わり、評価が下がります。PREP法は説得力を高めるために有効な方法です。

コツ2:ゆっくりはっきり時間厳守で話す

プレゼンテーションは、話し方も重要です。聴き手にわかりやすく伝えることを意識します。口を大きく開けて、はっきり話すことで相手に伝わりやすくなります。

口が小さいとモゴモゴして聞き取れずマイナス評価です。緊張すると早口になる傾向があるので、ゆっくり話すように意識しましょう。

ただし、プレゼンテーションには時間制限があり、時間オーバーは厳禁です。制限時間内に、ゆっくり話せるように練習を重ねることが大切です。

コツ3:視覚的な資料を用意する

プレゼンテーションでは、言葉だけで説明するよりも、視覚的な資料があるとわかりやすく伝わります。限られた時間内で簡潔に説明するのに視覚的資料は有効です。

たとえば、表やグラフをスライドやポスターにまとめる方法があります。資料が何枚もあると見る方も大変なため、重要なことを絞ってシンプルに仕上げます。

資料を作成するときには、次のことに注意しましょう。

  • 文字ばかり
  • 文字が小さい
  • 1枚のスライドで伝えたいことがたくさんある

せっかく資料を作成しても、相手に伝わらなければ、マイナス評価に終わります。

資料は図やグラフを用いたり、文字を箇条書きにしたりすると、ひと目見て内容が伝わりやすくなります。資料を作成するときは、聴き手にわかりやすい工夫をすることが大切です。また、作成した資料は面接官の人数分用意しておくと安心でしょう。

まとめ

総合型選抜におけるプレゼンテーションでは、受験生の論理的思考や創造力、問題解決能力、コミュニケーション能力が問われます。事前にテーマを提示され、プレゼン資料をつくるにあたり、事前準備を十分に行うことが重要です。

プレゼンテーションでは、問題に対する自分の意見を述べることを求められます。制限時間がある中で、相手にわかりやすく説明できるよう対策を練ることが大切です。

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この記事を書いた人

松 かんなのアバター 松 かんな Webライター

【プロフィール】
2024年5月より、ライターとして活動を開始。教育・ハウスメンテナンス・転職に関するSEO記事を専門に執筆しています。読者が理解しやすいよう、具体例を交えつつ丁寧な執筆を心がけています。
【専門分野】
教育/食育/ハウスメンテナンス
【保有資格】
管理栄養士
栄養教諭1種免許

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