
「推薦入試って、どんな試験なんだろう?」
「成績が良い人しか受けられないのかな…」
大学受験を控え、推薦入試で進学を考えている人は多いのではないでしょうか。
「成績が良くないと…」推薦入試にそのようなイメージを抱いている人もいますよね。ただ実のところ、今の推薦入試にはいくつかの種類があり、成績だけで判断しない方式もあるのです。
この記事では実施大学や倍率・難易度なども交え、推薦入試の特徴を解説します。どんな人が推薦入試に受かるのか、その特徴も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
- 一般選抜とは異なる入試方式
- 学校推薦型選抜と総合型選抜(旧AO入試)の2種
- 受かるのは目標を持って計画的に準備を進めてきた人
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大学の推薦入試とは?
大学の推薦入試は、高校での成績や活動実績、志望理由などを総合的に評価する入試制度です。一般入試とは異なり、書類審査や面接、小論文などを通じて、受験生の人物像や学ぶ意欲を多角的に判断します。
推薦入試では、学力だけでは測れない受験生の個性が評価されます。そのため、高校での学習態度や課外活動、資格取得などが重要な要素です。
高校の推薦入試との違い
評価基準と選考内容の深さにおいて、大学の推薦入試と高校の推薦入試は異なります。
高校の推薦入試では中学校の内申点が中心となるのに対し、大学の推薦入試では高校3年間の総合的な活動が評価されます。違いを下表にまとめました。
| 高校の推薦入試 | 中学校の内申点・調査書を重視し、面接・作文を実施。比較的短期間で準備可能な基礎的な適性確認が中心。 |
| 大学の推薦入試 | 高校3年間の評定平均・志望理由書・活動報告書を評価。小論文・口頭試問・プレゼンテーション・複数回の面接など高度な試験を実施。長期的な準備が必要で、学びへの意欲を深く問う。 |
上表から読み取れるように、大学の推薦入試は高校の推薦入試よりも、受験生の学びへの意欲を深く問う選考方法です。違いを下表にまとめました。
| 一般入試 | 共通テスト・個別試験の点数で合否決定。高校での成績はほとんど考慮されず、試験当日の学力のみを評価。実施時期は1月〜3月、合格発表は2月〜3月。 |
| 推薦入試 | 評定平均・課外活動・資格・志望理由・面接を総合評価。人物像や学ぶ意欲を重視。実施時期は秋〜冬(9月〜12月)、合格発表は早期(10月〜12月)で進路が早く決まる。 |
一般入試との違い
選考方法と評価の観点において、推薦入試と一般入試は異なります。
一般入試が試験当日の学力のみを評価するのに対し、推薦入試は高校での活動全体を総合的に評価します。
推薦入試の種類
推薦入試は、大きく分けて次の2つに分類されます。
それぞれの入試方式には、試験内容や選考過程、求められる準備に違いがあります。自分に合った入試方式を選ぶためには、両者の特徴を正しく理解することが重要です。
学校推薦型選抜

学校推薦型選抜とは、高校からの推薦を受けて出願する入試方式です。出願には一定の評定平均や履修科目などの条件を満たす必要があり、高校での学習成績が重視されます。
学校推薦型選抜は「指定校推薦」と「公募推薦」の2つに大別されます。
指定校推薦は、大学が指定した高校の生徒のみが出願でき、合格率が高いです。公募推薦は、出願条件を満たせばどの高校からでも出願できますが、選考倍率は指定校推薦よりも高くなります。
試験内容は、書類審査・面接・小論文が中心です。大学によっては基礎学力試験や口頭試問が課されることもあり、高校での学びを深く理解しているかが問われます。
学校推薦型選抜は、高校での成績が安定している受験生や、早期に進路を決めたい受験生に適した入試方式といえます。
学校推薦型選抜についてより詳しく知りたい人は、下の記事を参考にしてください。


総合型選抜(旧AO入試)

総合型選抜とは、受験生の個性や意欲、適性を総合的に評価する入試方式です。以前は「AO入試」と呼ばれていましたが、2021年度入試から「総合型選抜」に名称が変更されました。
総合型選抜では、高校からの推薦は不要で、受験生自身が志望理由や学びたい内容を明確に示すことが求められます。評定平均の基準が設けられていない大学も多く、学力以外の要素が重視されるのが特徴です。
試験内容は、下記のように多岐にわたります。
- 志望理由書
- 活動報告書などの書類審査
- 面接
- プレゼンテーション
- グループディスカッション
- 課題レポート
総合型選抜は、明確な目標や学びたいテーマを持っている受験生、課外活動や資格取得などの実績がある受験生に適した入試方式です。
総合型選抜(旧AO入試)についてより詳しく知りたい人は、次の記事を参考にしてください。


推薦入試の倍率・難易度
ここからは先ほど紹介した種類別に、推薦入試の倍率・難易度を解説します。
学校推薦型選抜の倍率は約1〜2倍
学校推薦型選抜のうち、公募推薦の倍率は約2.0倍で指定校推薦は約1.0倍です。
公募推薦の倍率は学部で差があります。年度によって変動もあります。倍率が低く見える場合でも、書類審査・面接・小論文などの試験対策には難しいです。
指定校推薦では、大学から各高校に推薦枠が割り当てられています。校内で推薦を得られれば、高確率で合格できます。
学校推薦型選抜は、高校内での選考を通過する必要があるため、実質的な勝負は「校内選考の段階にある」と意識して早めに準備を進めることが重要です。
総合型選抜の倍率は約5〜8倍
私立大学の総合型選抜の倍率は、約5倍から8倍です。
参考:総合型選抜(旧AO入試)の倍率一覧【私立&国公立の高い・低い大学まとめ】
私立大学における総合型選抜の平均倍率は、約8倍前後で、国公立大学に比べて高い傾向があります。学生の個性や特技を重視しているため、倍率が高りやすいです。
国公立大学の総合型選抜の平均倍率は約5倍で、私立大学に比べてやや低い傾向があります。国公立大学では、学力だけでなく、地域貢献意欲や大学理念への共感も評価されます。倍率が低くても合格が容易とは限らず、大学ごとに求められる学生像に合うかが合否を左右します。
【種類別】推薦入試の実施大学・一覧
ここからは入試別に一覧でまとめつつ、推薦入試の実施大学を紹介します。
総合型選抜
総合型選抜を実施している主要大学の一覧を下表にまとめました。
| 大学 | 学部 |
|---|---|
| 法政大学 | 経営学部、キャリア学部、現代福祉学部、法学部、文学部、国際文化学部、人間環境学部、現代福祉学部、キャリアデザイン学部、グローバル教養学部、スポーツ健康学部、理工学部、情報科学部 |
| 中央大学 | 法学部、経済学部、商学部、基幹理工学部、社会理工学部、先進理工学部、文学部、国際経営学部、社会理工学部、先進理工学部、総合政策学部 |
| 慶應義塾大学 | 文学部、法学部、理工学部、総合政策学部・環境情報学部、看護医療学部 |
| 学習院大学 | 国際社会科学部、国際文化交流学部 |
| 明治大学 | 文学部、理工学部、農学部、国際日本学部、総合数理学部、商学部、農学部食料環境政策学科、政治経済学部、法学部 |
総合型選抜は、多くの私立大学で幅広い学部において実施されています。法政大学や中央大学、明治大学では文系・理系を問わず多くの学部で総合型選抜を導入しており、受験生の選択肢が広がっています。慶應義塾大学や学習院大学でも、特定の学部で総合型選抜を実施しており、受験生の個性や意欲を重視した選考が行われています。
総合型選抜のおすすめ大学を知りたい人は、次の記事を参考にしてください。
のおすすめ大学まとめ【国公立・私立別】.png)
学校推薦型選抜(指定校推薦)
学校推薦型選抜(指定校推薦)を実施している主要大学の一覧です。
| 大学 | 学部 |
|---|---|
| 上智大学 | 指定校に通知 |
| 早稲田大学 | 政治経済学部、法学部教育学部、商学部、国際教養学部、文化構想学部、文学部基幹理工学部、創造理工学部、先進理工学部、人間科学部 |
| 青山学院大学 | 文学部、地球社会共生学部、コミュニティ人間科学部 |
| 立教大学 | 指定校に通知 |
| 日本大学 | 法学部、文理学部、経済学部、商学部、芸術学部、国際関係学部、スポーツ科、理工学部、生産工学部、工学部、歯学部、松戸歯学部、生物資源学部、薬学部 |
指定校推薦は、大学が指定した高校の生徒のみが出願できる入試形式です。
上智大学や立教大学では、指定校に対して個別に募集要項を通知しています。
早稲田大学や日本大学では、多くの学部で指定校推薦を実施しており、高校での成績が優秀な生徒に門戸を開いています。
指定校推薦は合格率が高いため、自分の高校が指定校になっているかを確認することが重要です。
学校推薦型選抜(公募推薦)
学校推薦型選抜(公募推薦)を実施している主要大学の一覧です。
| 大学 | 学部 |
|---|---|
| 東京大学 | 法学部、経済学部、文学部、教育学部、教養学部 |
| 一橋大学 | 商学部、経済学部、法学部、社会学部 |
| 筑波大学 | 人間学群 心理学類 |
| 上智大学 | 神学部、文学部、総合人間科学部、法学部、経済学部、外国語学部、総合グローバル学部、国際教養学部、理工学部 |
| 慶應義塾大学 | 経済学部・法学部・商学部・理工学部・薬学部薬学科 |
公募推薦は、出願条件を満たせばどの高校からでも出願できる入試形式です。
東京大学や一橋大学などの国公立大学でも公募推薦を実施しており、高い学力と明確な志望理由が求められます。
上智大学や慶應義塾大学などの私立大学でも、多くの学部で公募推薦を導入しています。公募推薦は指定校推薦よりも競争率が高くなる傾向がありますが、どの高校からでも挑戦できるため、幅広い受験生にチャンスがあります。
推薦入試は受けるべき?
明確な志望理由があり、志望大学で学びたいという強い意志がある人には、推薦入試はおすすめといえます。
推薦入試を受けるメリットは、早期に進路が決まることで精神的な負担が軽減される点です。学力試験を含め、高校での活動実績や意欲が評価されるため、自分の強みを活かしやすいのも特徴です。
推薦入試には専願が条件となるケースが多く、合格したら必ず入学しなければなりません。
第一志望校でない大学に出願する場合は、本当にその大学で学びたいのかをよく考える必要があります。
推薦入試の準備には時間がかかります。志望理由書の作成や面接対策、小論文の練習など、一般入試とは異なる準備が求められるため、計画的に取り組むことが不可欠です。
推薦入試に受かる人の特徴
推薦入試に合格する受験生には、明確な目標を持ち、計画的に準備を進めてきたという共通した特徴があります。
具体的には、以下のような特徴が見られます。
- 明確な志望理由を持っている
- 志望大学で学びたい理由、入学後に学びたいことを具体的に説明でき、面接官から高く評価される
- 高校での学習や活動に真摯に取り組んできた実績がある
- 評定平均が高く、課外活動や資格取得などを通じて、自分の興味を深めてきた経験が評価される
- 書類や面接の準備を早めに行っている
- 志望理由書は何度も推敲し、面接では想定質問に的確に答えられるよう練習を重ねている
- 自己分析ができている
- 自分の強みや経験から学んだことを客観的に理解し、志望理由と結びつけて説得力のあるアピールができる
推薦入試に受かるのは、上記のような明確な目標を持ち、計画的に準備を進めてきた人です。
推薦入試に落ちる人の特徴
推薦入試で不合格になる受験生には、出願条件の確認不足や準備不足という共通点があります。
具体的には、以下のような特徴が見られます。
- 出願条件を満たしていない
- 大学が定める評定平均の基準や履修科目、資格などの条件をクリアしていない。出願前に必ず募集要項を熟読し、条件を満たしているかを確認する必要がある。
- 面接対策が不十分
- 志望理由や自己PRを明確に伝えられない、質問に抽象的な回答しかできず、熱意が伝わらない。
- 小論文の準備不足
- 課題の意図を理解できていない、文章構成が稚拙であるなど、準備不足で評価が低くなる。
推薦入試で合格するためには、出願条件の確認、面接・小論文の十分な準備が欠かせません。
推薦入試によく抱く疑問
最後に推薦入試へよく抱く疑問に、まとめて回答します。
推薦入試のスケジュールは?
推薦入試のスケジュールは、総合型選抜と学校推薦型選抜で時期が分かれています。
総合型選抜のスケジュール
エントリーや出願書類の提出を行う時期。志望理由書や活動報告書などの準備が必要。
面接、小論文、プレゼンテーションなどの選考が実施される。
合格発表が行われ、早期に進路が決まる。
学校推薦型選抜のスケジュール
高校からの推薦書や調査書を含む出願書類を提出する。
面接や小論文などの選考が実施される。
合格発表が行われ、年内に進路が確定する。
国公立大学と私立大学でもスケジュールに違いがあります。国公立大学は共通テストの受験が必要な場合もあるため、私立大学よりもスケジュールが後ろにずれることがあります。
大学によって出願時期や選考方法が変わるため、志望校ごとに必ず募集要項を確認する必要があります。推薦入試を検討している場合は、早めに募集要項を確認し、出願準備を計画的に進めることが大切です。
欠席日数が多いと不利になる?
欠席日数が選考に影響する可能性は十分にあります。
特に理由のない欠席が多いと、学習意欲や真面目さを疑われる可能性があります。推薦入試では、高校での学習態度や生活態度も評価対象となるため、欠席日数が多い場合は不利に働くことがあります。
ただし、病気や家庭の事情など、やむを得ない理由がある場合は、面接などで説明できるよう準備しておくことをおすすめします。正当な理由があれば、欠席日数が多くても理解してもらえる可能性があります。
つまり、欠席日数は選考に影響する要素の一つであり、やむを得ない理由がある場合は、しっかりと説明できるよう準備しておくことが重要です。
欠席日数が推薦入試の合否に与える影響を知りたい人は、次の記事も参考にしてください。

推薦入試と一般入試は併願できる?
推薦入試と一般入試の併願可否は、入試方式によって異なります。
指定校推薦や多くの推薦入試は「専願(合格したら必ず入学)」が条件です。専願の場合、合格したら必ずその大学に入学しなければならないため、他の大学を受験することはできません。
一部の公募推薦などでは併願が認められるケースもあります。併願可の場合、推薦入試で合格しても、他の大学の一般入試を受験することができます。
推薦入試を受験する際は、必ず募集要項で「専願」か「併願可」かを確認しましょう。
まとめ
推薦入試は、学力試験・高校での成績や活動実績・志望理由などを総合的に評価する入試制度です。学校推薦型選抜と総合型選抜の2種類があり、それぞれ出願条件や試験内容が異なります。
推薦入試に合格するためには、明確な志望理由を持ち、書類や面接の準備を入念に行うことが重要です。自分に合った入試方式を選び、計画的に準備を進めましょう。


