この記事ではどちらを選ぶべきかも交え、学校推薦型選抜と総合型選抜の違いを解説します。
お子様から「総合型選抜」や「学校推薦型選抜」という言葉がでてきて、戸惑っている親御さんは多いのではないでしょうか。
現在の大学入試は、大きく下記3つの受験区分で構成されています。
項目 | 学校推薦型選抜 | 総合型選抜 | 一般選抜 |
---|---|---|---|
概要 | 高校の推薦をもらうことで出願できる入試方式 | 大学の求める人物像にあっているか図る入試方式 | 指定された試験を受験する入試方式 |
出願期間 | 11月1日~ | 9月1日~ | 2月1日~3月25日 |
合格発表 | 12月1日~ | 11月1日~ | ~3月31日 |
上図から分かるように、学校推薦型選抜と総合型選抜の1番大きな違いは、「出身高校からの推薦の有無」です。学校推薦型選抜は、名前の通り「推薦型」のため、受験には学校長からの推薦が必要になります。
この記事では、双方の特徴も交え、学校推薦型選抜と総合型選抜の違いをわかりやすく解説します。総合型選抜と学校型選抜のどちらを選ぶべきかも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
- 総合型選抜と学校推薦型選抜には出願の条件・期間などに違いがある
- 4~8月頃は志望校の情報収集と受験対策を行う期間
- 総合型選抜の出願時期は学校推薦型選抜より早い
なお、総合型選抜試験の合格に向け、どの対策塾に通えばいいのかわからない人は「推薦対策塾診断」をお試しください。
かかる時間は1分ほど。4つの質問に答えるだけで、あなたにあう塾を診断してもらえます。
効率よく志望校への進学を実現したい人は、ぜひ一度お試しください。
\ 4つの質問に答えるだけ /
学校推薦型選抜(旧推薦入試)の入学試験
学校推薦型選抜とは、出身高校校長の推薦にのっとり学生を評価・判定する入試方法です。学校推薦型選抜の種類は「公募制」と「指定校制」に大別されており、それぞれ特徴が異なります。
項目 | 詳細 |
---|---|
公募制推薦 | 大学が定める出願条件を満たし、学校長の推薦があればだれでも受験できる入試制度です。 |
指定校制推薦 | 大学が定めた指定校の生徒のみが出願できる入試制度です。 |
ここからは、公募制と指定校制について詳しく解説します。
公募制(公募推薦)の入試
公募制とは、大学が定める出願条件を満たし、学校長の推薦があればだれでも受験できる入試制度です。
公募制には、公募特別推薦という枠もあります。この受験方式は、学校長の推薦に加えて、文化活動や資格取得、スポーツの実績などの成績が出願条件となっている大学試験です。
スポーツなどの実績が多くある場合は公募制、学内評定平均が高い場合は公募一般推薦と考えておくとよいです。
公募推薦は、スポーツや文化活動での実績や評定平均が高い(4以上推奨)人が有利に進められる方式です。
指定校制(指定校推薦)の入試
指定校制とは、大学が定めた指定校の生徒のみが出願できる入試制度です。そのため、自身の高校に大学からオファーがなければ、好成績でも受験できません。
募集枠は高校から1~3人程度が多く(大学によって異なる)、3年間の評定平均などをもとに校内選考を行い受験者を決めます。
出願要件は大学によって異なりますが、国公立大学や有名私立大学を目指す場合は、評定平均5などの基準が必要となります。
ただし、相対評価となるため、自身の評定平均が4.5でも4.7の学生が志願すれば、受験が難しくなります。指定校制はスケジュールが早く、受験が始まる10月には校内選考が終わり、受験者が決定します。
総合型選抜(旧AO入試)の入学試験
総合型選抜とは、大学が求める人物像をまとめたもの(アドミッション・ポリシー)とマッチする受験生を選抜するために、多様な評価方法を組み合わせて行う入試方式です。
一般的な学力試験だけでなく、提出書類、面接、小論文、プレゼンなどを通じて、受験生の意欲や学ぶ力、そして将来への展望が総合的に評価されます。
総合型選抜で受かる人は、大学で何を学び、どのように社会に貢献したいのかという明確な目標意識と、自身の志望動機を深く掘り下げて具体的に伝える能力が高い傾向にあります。
また、アドミッションポリシーを理解し、それに応じた準備を行うことが成功の鍵となります。
- アドミッション・ポリシーの実例
大学名 | 学部/学科 | アドミッション・ポリシー(一部抜粋) |
---|---|---|
九州大学 | 経済・経営学部 | 先端的科学技術の急速な発展や経済のグローバル化・市場経済化の進展などによって大きな変容を遂げつつある現代の経済社会に深い関心をもち、経済学・経営学の基礎理論や幅広い教養を身につけ、さらに、豊かな国際感覚を磨くことを通じて、人類が直面している種々の問題に積極的に取り組んでいこうという気概をもった皆さんが、経済・経営学科に興味をもち、入学されることを期待している。 |
早稲田大学 | 商学部 | 論理的思考力や社会科学の基礎となる学力が必要不可欠である。国際感覚・倫理観を兼ね備えた企 (起)業家精神を養い、深い学識と教養に裏付けられた実業家を目指し、ビジネスリーダーとして地球社会に貢献しようと志す学生を受け入れたいと考えている。 |
学校型選抜と総合型選抜の違い
ここからは、次のトピック別で学校型選抜と総合型選抜の違いを解説します。
- 試験内容
- 出願条件
- 受験期間(スケジュール)
- 合格率(難易度)
改めて次の図で、学校型選抜と総合型選抜の違いを確認しましょう。
項目 | 学校推薦型選抜 | 総合型選抜 |
---|---|---|
試験内容 | 書類選考・面接・小論文のケースが多い | 書類選考・面接・小論文のケースが多い |
出願条件 | 学校長の推薦と「評定平均値」が○点以上などの条件あり | 基本的にはどなたでも出願可能※大学によっては年齢・学力・履修科目・資格などの条件あり |
出願期間 | 11月1日~ | 9月1日~ |
合格発表 | 12月1日~ | 11月1日~ |
倍率 | 2.4~2.5倍程度(国公立大)1.1~2.5倍程度(私立大) |
試験内容
項目 | 詳細 |
---|---|
学校推薦型選抜 | 書類選考・面接・小論文のケースが多い |
総合型選抜 | 書類選考・面接・小論文のケースが多いが大学によってさまざま |
学校推薦型選抜は、高校の推薦が必要で、書類審査・小論文・面接が中心です。
総合型選抜も、大学が求める人物像に合致しているかどうかを確認するため、書類選考や面接・小論文が主な選考方法ですが、多くの場合、大学ごとに特徴のある選考が行われます。
筆記試験や論文作成を重視する大学もあります。
なお、総合型選抜試験の試験内容をより詳しく知りたい人は、次の記事を参考にしてください。
出願条件
項目 | 詳細 |
---|---|
学校推薦型選抜 | 学校長の推薦と「評定平均値」が○点以上などの条件あり |
総合型選抜 | 基本的にはどなたでも出願可能※大学によっては年齢・学力・履修科目・資格などの条件あり |
学校推薦型選抜は、評定平均が合否を大きく左右します。大学が具体的な基準値(例:評定平均4.2以上)を設けていることが多いです。他にも学内活動や部活動の実績も加味して校長から推薦を貰えれば、出願が可能です。
一方、総合型選抜は、大学が求める人物像に合致しているかを総合的に判断するため、基本的には誰でも出願が可能です。
受験期間(スケジュール)
どちらの受験方式も一般選抜に比べて早く合否が分かりますが、合格できなかった場合、すぐに一般選抜試験が始まります。
志望大学への合格の可能性を高めるために、併願しつつ受験スケジュールを立てましょう。
なお、総合型選抜試験のスケジュールについてより詳しく知りたい人は、下の記事を参考にしてください。
倍率(合格率)
河合塾の調査によると、2023年・2024年の総合型選抜・学校推薦型選抜の倍率は、国公立大で2.4~2.5倍、私立大で1.1~2.5倍でした。
私立大学では、募集人員は増えたものの、志願者数は横ばい。合格者も増えたものの、倍率は低下し、特に地方では1倍台前半の大学もあります。
学校推薦型・総合型選抜で入学する学生が多い中、一般選抜の倍率が低いことから、私立大学の入試競争は緩和傾向にあることがわかります。
なお、大学別の合格率や難易度も交え、総合型選抜試験の倍率をより詳しく知りたい人は次の記事を参考にしてください。
総合型選抜と学校推薦型選抜はどちらを選ぶべき?
総合型選抜は、自分の考えや経験を言葉で表現し、大学で何を学びたいのかを明確に伝えられる人に強みがあります。大学での学びに対する意欲や、将来の目標を具体的に示せる方は、総合型選抜で自分の魅力を最大限にアピールできるでしょう。
学校推薦型選抜は、高校での成績が良く、先生から高い評価を得ている方に有利です。高校での学習内容をしっかりと理解しており、学校生活においても積極的に取り組んできた方は、学校推薦型選抜で高い評価を得られる可能性があります。
どちらの入試方式を選ぶかは、あなたの強みや興味関心、将来の目標によって異なります。それぞれの入試方式の特徴をしっかりと理解し、進路指導の先生などに相談しながら、慎重に決めることが大切です。
なお、メリットやデメリットがあいまいなことから、総合型選抜試験で受験しようか悩んでいる人は下の記事を参考にしてください。
まとめ
学校推薦型選抜と総合型選抜をまとめると、以下のとおりです。
項目 | 学校推薦型選抜 | 総合型選抜 | 一般選抜 |
---|---|---|---|
概要 | 高校の推薦をもらうことで出願できる入試方式 | 大学の求める人物像にあっているか図る入試方式 | 指定された試験を受験する入試方式 |
出願期間 | 11月1日~ | 9月1日~ | 2月1日~3月25日 |
合格発表 | 12月1日~ | 11月1日~ | ~3月31日 |
改めて、学校推薦型選抜と総合型選抜の1番大きな違いは、「出身高校からの推薦有無」です。どちらが自分やお子様にあっているのかは、高校が持っている推薦枠の数や志望大学の条件によって大きく異なります。
ただし、試験概要やスケジュールは基本的には変わらないため、余裕を持って計画をしておくことが大事です。