この記事では例文も交え、総合型選抜における小論文試験の対策手順を解説します。
「総合型選抜の小論文試験はどんなものなんだろう?」
「どう対策すればいいのかな…」
総合型選抜を受けようと考えてはいるものの、小論文試験のイメージが湧かず、どう対策を進めればいいのかわからない人は多いですよね。
実際のところ、総合型選抜の小論文試験は多くの大学で実施されており、受験生を判断する重要な要素となります。
小論文とは、出題テーマを深く掘り下げて、自分の意見を明確に示し、根拠やデータを用いて説得力を持たせる文章です。自分の意見や主張を論理的に展開することが求められます。一方、自由なテーマに基づいて自分の経験や感想を表現する文章は「作文」です。
小論文と作文とでは、伝える内容や求められる要素が全く違います。総合型選抜を突破するには、小論文の書き方を習得することが重要です。
そこで、本記事では総合型選抜における小論文試験の対策手順を解説します。書き方や例文も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
- 総合型選抜において小論文は学力以外の能力を判断する重要な要素
- 小論文の書き方は、序論・本論・結論の3段階で構成する
- 志望校の小論文の出題パターンを把握しておくことが重要
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総合型選抜における小論文試験の基礎知識
はじめに次のトピック別で、総合型選抜の小論文試験に臨むうえでおさえておきたい基礎知識を解説します。
- 小論文試験の重要性
- 評価のポイント
なお、総合型選抜における小論文は、多くの大学で実施され、合否に影響する重要な要素です。万全な対策を行うことで、合格の道が開けます。
小論文試験の重要性
小論文は、総合型選抜において重要な要素の1つです。
なぜなら、総合型選抜では、志望動機や自分の考えを伝える力を評価する入試だからです。小論文試験を通じて、受験生の「思考力」や「表現力」を判断します。
また、多くの大学で小論文試験を課す目的は、受験生に論文を書く基本的な能力が備わっているかを判断するためです。大学生になれば、論文を書くことが必須となります。書く力が高い人ほど、大学が求める人材ということです。
総合型選抜の小論文試験は、論理的思考力や表現力、志望動機の明確さ、独自の視点などをアピールするために重要な要素となります。
評価のポイント
小論文試験では、思考力・表現力・理解力・読解力などが評価されます。一般的に次のような基準で評価されることが多いです。
- テーマを理解し、問題を把握しているか
- 自分ならではの意見があるか
- 時事問題に対する理解度や解決策があるか
- 設問に対して明確に答えているか
- 文章が論理的に構成されているか
総合型選抜の小論文試験では、学力や知識だけでなく、思考力や自己表現力、社会的な関心や課題解決能力が重視されます。小論文のテーマに対してどれだけ適切にアプローチできているかが重要です。
評価基準を意識し、事前に準備を行うことが重要です。
総合型選抜における小論文試験の出題形式
ここからは、総合型選抜における小論文試験の主な出題形式を、3つにまとめて紹介します。
- テーマ議論型
- 文章読解型
- 資料分析型
出題形式ごとに、自分の考えをどう表現するかが変わります。志望校の出題形式を把握し、特徴を理解することが大切です。
1.テーマ議論型
テーマ議論型では、与えられたテーマに対して自分の意見や考えを述べる形式です。テーマは抽象的な内容が多いため、自分の意見を裏付ける理由を示し論理的に展開していくことが求められます。
テーマ議論型の出題例には、次のようなものがあります。
- 「日本の教育制度における格差の問題について考え、その解決策を提案しなさい。」
- 「持続可能な社会を実現するために、個人はどのような行動を取るべきか。」
テーマ議論型では、自分の意見を明確に述べ、具体的な根拠を示し、展開する必要があります。自分の考えを論理的に述べることで、説得力のある小論文に仕上げることが大切です。
2.文章読解型
文章読解型では、提示された具体的な課題文に対して、背景や原因を分析し、解決策を示す形式です。テーマ議論型に比べて、具体的な問題を分析するため、深い理解力や論理的な思考が必要です。
文章読解型の出題例には、次のようなものがあります。
- 「日本の学校教育における不登校問題の背景を分析し、解決策を考えなさい。」
- 「企業における働き方改革を進めるためには、どのような課題があり、どのように解決すべきか。」
課題文に示された問題の原因や背景をしっかりと分析します。例えば、不登校問題なら、「家庭環境」「学校環境」「社会環境」など、複数の視点から問題を掘り下げます。
文章読解型では、課題文の内容を正確に読み解き、問題の背景を探ります。問題解決に向けた具体的な提案を行うことが求められ、分析力と論理的な構成が評価のポイントです。
3.資料分析型
資料分析型では、提示された資料やグラフをもとに、内容を分析し、意見を述べる形式です。資料の読み取り能力や分析力が求められ、データを基にした論理的な考察を行う必要があります。
資料分析型の出題例には、次のようなものがあります。
- 「日本の小学生の学力低下を示すグラフをもとに、その原因と改善策を考察しなさい。」
- 「この表をもとに、日本の高齢化社会における医療費負担の問題について論じ、今後の課題と解決策を提案しなさい。」
資料分析型では、データを正確に解釈し、データの意味を掘り下げたうえで、自分の意見を組み立てます。資料分析の結果から、問題の解決策や今後の対策を考えることが大切です。
総合型選抜で評価される小論文の書き方
ここからは次の構成別に、総合型選抜試験で評価される小論文の書き方を解説します。
- 自分の考えを述べる(序論)
- 主張を裏付ける理由や解決策を示す(本論)
- 主張を再確認しまとめる(結論)
3つの構成を守ることで、文章が一貫性を持ち、読み手にとって理解しやすくなります。
1.自分の考えを述べる(序論)
はじめに、課題文の意図を正確に理解し、自分の意見を簡潔に表現することが重要です。序論で自分の考えを示すことで、小論文の内容を明確にします。
たとえば、提示されたテーマに対して、次のように自分の考えを述べます。
- テーマ:「学力格差を解消するためには、どのような取り組みが必要か」
- 主張:「私は学力格差を解消するために、均等な学習機会を提供することが必要だと考えます」
序論では、問題に対する理解を示し、自分がどの立場に立っているかを明確にすることが大切です。この段階でしっかりと意見を述べることで、論点が定まり、論文全体がぶれにくくなります。
出題テーマで聞かれていることをよく理解した上で「私は〇〇が重要だと考える」「私は〇〇に賛成(反対)である」と自分の考えを示し、本題へとつなげます。
2.主張を裏付ける理由や解決策を示す(本論)
次に、自分の意見を支える理由や根拠を示し、具体的な提案を行います。理由や解決策を論理的に展開することで、説得力が増します。
たとえば、主張に対し、次のような理由や解決策があげられます。
- 主張:「学力格差を解消するために、均等な学習機会を提供することが必要」
- 理由:「経済的に厳しい家庭の子どもは、塾や習い事に通えず、十分な支援を受けられずに学力が伸び悩むケースが多くあるからです。」
- 解決策:「無料の学習支援を提供することが必要です。地域の教育支援センターが補助的な学習指導を行うことで、子どもたちがよりよい学習環境を得ることができます。」
本論では、根拠や具体例を挙げることで、主張を深掘りし、より実現可能な解決策を提示することが求められます。
3.主張を再確認しまとめる(結論)
最後に、本題の内容を簡潔にまとめ、はじめに述べた自分の意見を再確認します。また、論文を締めくくる形で、今後に向けた提案や展望を加えることが効果的です。
次のようにまとめることで、わかりやすく伝わります。
- 結論を簡潔に述べる
- 本論の要点を再確認する
- 未来への展望や提言を加える
「学力格差の解消には、政府による均等な学習機会の提供と、地域における支援策が欠かせません。これにより、すべての子どもが平等に学ぶ機会を得られます。教育の公平性を向上させることが、未来の社会を築くために必要不可欠だと考えます。」
結論を書くときには、はじめに主張した自分の考えとズレはないか再確認をし、矛盾のないように締めくくることが重要です。もし意見が一貫していない場合、論文全体の整合性が失われてしまうため、注意が必要です。
結論では、課題における自分の考えを簡潔にまとめ、前向きな提案をすることが大切です。
総合型選抜における良い・悪い小論文の違い
ここからは次のトピック別に、総合型選抜試験の評価につながる小論文の良し悪しを解説します。
- 一文の長さ
- 時間配分
- 文末表現
良い小論文と悪い小論文の違いを知ることで、効率よく小論文試験の対策が進められます。
一文の長さ
小論文を書く際には、一文を短く簡潔に書くことが重要です。文章が長くなると、読み手が理解しにくくなります。短い文で区切ったり、冗長な部分を削ったりすると読みやすくなります。
一文の長さによる違いの例は次のとおりです。
教育というものは、個々人の成長にとって非常に重要であることはもちろん、社会全体の発展や国の未来にとっても、欠かすことができない重要な要素です。
小論文を書くときは、無駄な言葉を削り、シンプルな表現を心がけることが大切です。
時間配分
小論文の試験では、時間内に文章を仕上げることが重要です。小論文対策の練習では時間を計りながら、時間配分を意識して取り組む必要があります。
時間配分の良い例は次のとおりです。
小論文で取りかかる順番 | 60分制の場合 | 90分制の場合 |
---|---|---|
1.文章を書く前に構成をメモする | 15~20分 | 20~25分 |
2.メモした構成をもとに本文を清書 | 30~35分 | 50~55分 |
3.書き終わったら見直し | 10分 | 15分 |
小論文を書くときには、まず構成をメモすることが重要です。課題テーマを読み取り、問題点を洗い出したり、自分の意見をまとめたりします。どの順番で、何を書き、どうまとめるのかを考えることが重要です。全体の流れをつかめれば、本文もスムーズに書けます。
書き終わったら必ず見直しする時間を取ることが大切です。誤字・脱字・文法ミスなどを確認することで減点を減らせます。
よくある悪い例として、次のことがあげられます。
- いきなり書く:早く書かなくてはと焦って、真っ先に答案用紙に書き始めるのは失敗のもとです。どんな順番で何を書くのか、メモに時間を使う方がスムーズに文章が書けます。
- 見直しをしない:誤字脱字は減点されます。無駄な減点を増やさないためにも見直しは重要です。
限られた時間内で質の良い小論文を書くには、時間配分が重要です。実際に時間を計りながら、どの部分に時間がかかっているのか、改善が必要な点は何かを確認しましょう。
文末表現
小論文を書く際には、文末表現を統一することが大切です。文末表現がバラバラだと、読み手に違和感を与えます。
小論文を書く際には、「〜である。〜だ。」といった文末と「〜です。〜ます。」といった文末のどちらかに統一しましょう。
悪い例(文末表現がバラバラ) | 「学力格差は今、深刻な問題である。特に、家庭環境が教育に与える影響は大きいです。教育の質を改善するためには、教師の専門性を高める必要があります。」 |
よい例(文末表現を統一) | 「学力格差は今、深刻な問題です。特に、家庭環境が教育に与える影響は大きいです。教育の質を改善するためには、教師の専門性を高める必要があります。」 「学力格差は今、深刻な問題である。特に、家庭環境が教育に与える影響は大きい。教育の質を改善するためには、教師の専門性を高めるべきである。」 |
「です・ます調」は丁寧で柔らかい印象を与えます。「である・だ調」は堅い印象のため事実や論理を述べる際に適しています。文末表現をそろえることは、文章の一貫性を保つために重要です。
総合型選抜における小論文試験の対策法
ここからは、総合型選抜における小論文試験の効果的な対策法を、3つにまとめて紹介します。
- 過去問で傾向を把握する
- 時事問題から自分の意見をまとめる
- 添削を受ける
小論文試験対策の勉強法では、文章力を高めることや論理的に考える力、テーマに対する理解を深めることが重要です。
対策法1:過去問で傾向を把握する
小論文対策では、過去問をたくさん解くことが重要です。小論文のテーマは、大学ごと・学部ごとに特徴がある場合が多いです。自分が志望する大学の過去問を解くことで、出題傾向を把握できます。
過去問は、大学のホームページに公開されていることもあれば、取り寄せる場合もあります。過去問から出題テーマの傾向や文字数を把握することで、効率よく小論文対策が進められるでしょう。
対策法2:時事問題から自分の意見をまとめる
小論文では、時事問題や社会問題について常にアンテナを張っておくことが大切です。現代社会の問題に対する自分の考えを述べることが求められます。
特に、志望する学部に関連する分野の問題を深く掘り下げて理解する必要があります。経済、環境、教育、政治などに注目しておくといいでしょう。具体的には、新聞やニュースを見て、問題となるテーマから自分の意見をまとめる習慣をつけておくことが有効です。
対策法3:添削を受ける
小論文を書いたら、必ず添削してもらうことが重要です。小論文は自分で良し悪しを判断することが難しいです。
高校の先生や塾の講師に添削をお願いし、フィードバックを受けることで文章力の向上につながります。どんなことを添削されたのか、必ず確認し書き直すことも大切です。
まとめ
小論文は、総合型選抜において重要な要素の1つです。小論文の書き方をおさえ、繰り返し練習することが合格に大きく影響します。
日頃から時事問題に意識をむけ、自分なりの考えを持つ習慣をつけることで、小論文対策につながります。志望校の過去問から出題傾向や求められるスキルを把握し、効率よく受験対策を進めましょう。