必要な平均目安や足りないときの対処法も交え、学校推薦型選抜における評定の重要性を解説します。

「学校推薦型選抜に必要な評定ってどれくらいなんだろう?」
「合格できるかにも結構影響するのかな…」
「もし評定が足りなかったら、諦めるしかないのかな…」
学校推薦型選抜を受けるにあたり、必要な評定の目安がわからない人は多いですよね。
学校推薦型選抜において、評定は合否に影響を与える重要な要素です。ただし、評価の比重は大学ごとで異なります。
そのため、学校推薦型選抜の合格を目指すうえで評定への理解は不可欠です。
そこでこの記事では重要度や目安も交え、学校推薦型選抜における評定の特徴を解説します。万が一評定が足りない場合にどうすれば良いのか、具体的な対処法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
- 評定は高校での学習の成果を数値化したもの
- 評定は学校推薦型選抜における重要な要素
- 評定以外に志望理由・出席日数・面接も評価要素
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学校推薦型選抜における評定とは?
学校推薦型選抜における評定とは、高校での学習の成果を数値化したもので大学からの評価に直結する重要な要素です。募集要項で「評定平均○○以上」と指定されている場合、基準に達していないと出願そのものができません。
以降では次のトピック別に、評定の特徴をより詳しく解説します。
評定には2つの種類がある

学校推薦型選抜における主な評定は、次の2種類に分けられており、それぞれ評価される範囲が異なります。
評定の種類 | 評価範囲 |
---|---|
全体評定平均 | 高校で履修した全教科の成績を平均した数値 |
特定教科の評定平均 | 大学や学部が指定する特定の教科(例えば、外国語学部なら英語、理工系学部なら数学や理科など)のみの成績を平均した数値 |
「全体評定平均」のみで評価する大学もあれば「全体+特定教科別」を組み合わせる大学もあります。教科別のみを採用するなど、各校で基準はさまざまです。
英語力を重視する大学なら英語だけは評定4以上を求められます。理数系に力を入れる学部なら数学と理科の成績を重視されることもあります。
志望する大学・学部がどちらの評定を重視するのか、募集要項で必ず確認しましょう。
評定平均の算出方法

評定平均は履修した全科目の評定の合計を、その総科目数で割ることで算出します。評定平均は高校での学習成果を数値で示したもので、学校推薦型選抜における重要な評価指標の一つです。
具体的には、高校1年生から3年生の1学期(または前期)までに履修した全科目の評定(通常5段階評価)を合計し、その合計値を履修した科目数で割って求めます。計算式で示すと、以下の通りです。
「履修した全科目の評定の合計 ÷ 履修した全科目数 = 評定平均」
下図で詳しく見てみましょう。
- 生徒が履修した全科目の評定の合計が「120」
- 履修した全科目数が「31」
この場合、評定平均は以下のように計算されます。
120÷31=3.8709…
小数点以下第2位を四捨五入する(募集要項の指示に従う)と、評定平均は「3.9」となります。下部の表は、このような計算の元になる各科目の評定が記載されているイメージです。
大学や学部によっては、小数点以下の扱い(切り捨て、切り上げ、四捨五入など)が異なります。正確な評定平均や出願先の基準については、高校の先生や志望校の募集要項を確認しましょう。
調査書における評定の見方

調査書で評定を見る際に見るのは「全体の学習成績の状況」と「学習成績概評」という2つの記載です。
調査書とは、高校での成績や学校生活の状況、特別活動の記録などをまとめたものです。学校推薦型選抜では、高校から大学へ提出されます。
「全体の学習成績の状況」と「学習成績概評」について、下表に概要をまとめました。
全体の学習成績の状況 | ・前述した「評定平均の算出方法」の「全科目の評定」を平均した数値 ・「3.8」や「4.2」という数字で示される |
学習成績概評 | ・「全体の学習成績の状況」をA~Eの5段階のアルファベットで大まかに示したもの ・大学の募集要項では、出願資格として「学習成績概評B段階以上」といった形で基準が設けられている |
具体的にどの評定平均値がどの段階にあたるのか、文部科学省の示す基準は下表の通りです。
全体の学習成績の状況 | 学習成績概評 |
---|---|
5.0 ~ 4.3 | A |
4.2 ~ 3.5 | B |
3.4 ~ 2.7 | C |
2.6 ~ 1.9 | D |
1.8 以下 | E |
評定平均が3.8なら「B」判定となり「学習への取り組み姿勢が安定している」と判断されやすいでしょう。調査書では評定平均の数値だけでなく、コメント欄や部活動などの課外活動実績も含めて総合評価されます。
学校推薦型選抜で合格するには、調査書に記載される全てで評価されることを意識した対策が必要です。
評定は学校推薦型選抜の受験・合否に関わる重要な要素

「評定が少し足りないけど、受験できるのかな?」
「基準ギリギリだと、合格は難しいのかな…」
学校推薦型選抜を考える上で、評定と受験資格や合否の関係は気になるところですよね。
結論、多くの大学では募集要項で定められた評定基準を満たしていなければ、学校推薦型選抜の出願自体ができません。そして、基準を満たしていても、評定は合否に大きく影響します。
ただし、評定が足りない場合の対策や、評定以外で評価される要素も存在します。それらについては、後ほど「 学校推薦型選抜で評定が足りない場合の対処法」や「評定以外に学校推薦型選抜で評価される要素」で詳しく解説します。
ここではなぜ評定が学校推薦型選抜においてこれほど重視されるのか、その理由を以下の2つの視点で解説します。
大学が評定を重視する理由

大学が評定を重視する理由は、受験生の高校3年間の「学力」と「学習意欲」を客観的に示す指標となるからです。一夜漬けの試験対策では測れない、日々の継続的な努力や真面目な学習態度が評定には反映されます。
特定の教科だけ成績が突出している場合、興味分野への強い取り組みを評価してもらえる可能性があります。複数の教科にわたり平均以上の評定を維持していれば、幅広い学力を身につけていると判断されるでしょう。
大学側は、入学後に学業を修められるか、主体的に学べるかを見極めたいと考えているのです。
アドミッションポリシーとのマッチ度を測る

評定は、アドミッションポリシーとの相性を判断する材料です。アドミッションポリシーとは、大学が求める人物像のことです。
大学は、自校の教育方針に共感し、入学後に意欲的に学んでくれる学生を求めています。評定の内容や傾向から、大学が期待する適性や将来性、大学との相性が見えてくるのです。
国際系学部で英語の評定が高ければ語学力や異文化理解への意欲が高いと評価されます。地域創生系学部で関連科目の成績が良く活動実績も伴っていれば、志望分野への熱意や適性が評価されます。
大学側は全体の評定に加え、アドミッションポリシーに沿って主に次の2点を評価します。
- 関連教科の成績:専門分野への興味や適性を示します。
- 活動と学業の両立:主体性や計画性など、人間的な側面を見ます。
成績や活動内容が、志望校の求める人物像にどう強みとしてアピールできるか、具体的に考えておきましょう。
【大学別】学校推薦型選抜の評定平均・一覧
学校推薦型選抜における評定平均の目安は、国立大学と私立大学で傾向が異なります。
国立大学は学力重視の傾向が強く、評定基準も高めです。私立大学は、評定以外に個性や活動実績も評価対象となることが多いです。
そこでここからは次の大学別に、学校推薦型選抜に必要な評定平均の目安を解説します。
紹介する評定平均はあくまで過去の入試結果などに基づいた一例です。年度や入試方式、学部・学科によって大きく異なる場合があります。「A」のように学習成績概評で示されている場合は、前述した評定平均との対応表を参考にしてください。
国立

下表に、国立大学に求められる評定平均をまとめました。
大学名・学部名 | 評定平均 |
---|---|
東京外国語大学言語文化学部 | A |
東京学芸大学教育学部 | 4.0 |
大阪大学医学部 | 4.3 |
九州大学芸術工学部 | 4.0 |
九州工業大学工学部 | 3.8 |
国立大学では、一般的に高い学力レベルや主体的な学習への取り組みが重視される傾向にあります。そのため、出願資格として求められる評定平均の基準も高めに設定されている大学・学部が少なくありません。
国立大学の場合、「A判定」で求められる評定が4.3以上とされるなど、ハードルが高い印象です。ただし、すべての学部で一律の基準が課されるわけではありません。学科やコース、年度によって大きく変わる点に注意が必要です。
医学部や芸術工学部など専門性の高い分野ほど、特定教科の評定を重視する場合もあります。志望学部に必要な教科で「いくつ評定を上げれば条件をクリアできるか」を逆算して学習計画を立てましょう。
私立

下表に、私立大学に求められる評定平均をまとめました。
私立大学における評定平均の目安は、大学や学部、入試方式によって幅広いです。国立大学と比較すると、比較的低い基準といえます。表を見ると、3.2から4.0まで幅広い評定平均基準が設定されています。
私立大学では、評定平均以外にも、大学独自の試験、面接、小論文などが重視されることも多いです。学校推薦型選抜で合格を目指すためには、総合的な対策を心がけましょう。
学校推薦型選抜で評定が足りない場合の対処法

学校推薦型選抜で評定が基準に足りない場合でも、諦める必要はありません。具体的な対処法を実践することで合格を目指せます。
確かに、多くの大学では出願条件として評定基準が定められています。評定基準を満たせなければ、学校推薦型選抜への出願自体が難しいのが現実です。しかし、評定が足りないことを補い、合格するチャンスを広げるための対策があります。
評定が足りない場合、次の3つの対策法を実践しましょう。
対策法 | 詳細 |
---|---|
検定試験やコンクール実績で補う | 英検・TOEICなどのスコアやコンテスト入賞歴があれば、積極的にアピール |
志望理由書や自己PRを充実させる | 課外活動や部活動、ボランティアなど、成績以外でのアピールポイントを明確に示す |
今後の成績で評定アップを目指す(高校1・2年生向け) | 授業態度や定期テストへの取り組み方を見直し、少しでも評定を上げる努力を続ける |
現時点で評定が足りない場合でも、行動を起こすことで合格のチャンスは広がります。ただし大切なのは、日々の学習を積み重ねて評定基準を満たしておくということを覚えておきましょう。
評定以外に学校推薦型選抜で評価される要素
学校推薦型選抜の合否は評定だけで決まるわけではありません。そこでここからは、評定以外に学校推薦型選抜で評価される要素を、3つにまとめて解説します。
志望理由

学校推薦型選抜において「志望理由」は合否を左右する重要な要素です。
教育理念や特色を理解した上で「ここで本気で学びたい」という強い意志があるかを、大学は知りたいのです。ありきたりな表面的な理由では、高い評価は期待できません。
自身の経験や将来の目標と、その大学・学部で学ぶことの必然性を具体的に結びつけて示すことが大切です。結びつきのある内容が、志望理由書や自己PRなどの提出書類、面接での受け答えにも一貫性と説得力が生まれます。
なぜ大学・学部を志望するのかを掘り下げ、自分の言葉で語れるように準備しましょう。
志望理由書の書き方を知りたい人は、次の記事も参考にしてください。
出席日数

学校推薦型選抜では「出席日数」も評価に関わる要素の一つです。欠席や遅刻の回数が多い場合、選考で不利になる可能性があります。
出席状況が日頃の生活態度や学業への真摯さ、自己管理能力を示す指標だと大学側が捉えているからです。真面目にコツコツと学業に取り組めるか、大学生活を責任持って送れるかを見極めようとしています。
明確な理由もなく欠席が目立つと、学習意欲が低い、健康管理能力に課題があると見なされかねません。病気や家庭の事情など、やむを得ない欠席は考慮されるべきですが、基本的には日々の積み重ねが大切です。
体調管理に気を配り、規則正しい高校生活を送ることが、結果として評価にも繋がります。出席日数と合否への影響についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

面接

学校推薦型選抜における面接も、学校推薦型選抜における重要な選考段階です。書類だけでは伝わらない人間性やコミュニケーション能力、思考力などが評価されます。
大学側は、面接を通じて言葉や表情、態度から、以下のような点を見極めようとしています。
- 受け答えの内容: 質問の意図を的確に理解し、自分の考えを論理的かつ具体的に述べられるか。アドミッションポリシーへの理解度や学習意欲の高さも問われる。
- 態度: 明るくハキハキとした受け答え、正しい言葉遣いや礼儀作法、適切な身だしなみなどの基本的なマナーが身についているかが重要。
- 自己PR: 限られた時間の中で、自分の強みや長所、これまでの経験を効果的に伝えられるか。入学後に何を学び、どう成長したいのかという将来への展望を示せるかもポイント。
面接は、事前に何度も模擬面接を繰り返しましょう。あらゆる質問を想定して自分の言葉で話せるように練習しておくことで、自信を持って本番に臨めます。
まとめ
学校推薦型選抜において「評定」は、学力や学習意欲を示す重要な要素です。
合格するには、大学ごとに求められる評定平均の目安を把握しておくことが大切です。しかし、基準に届かない場合でも諦める必要はありません。
志望理由や面接、活動実績など評定以外の評価要素で強みをアピールできる可能性が残されています。
重要なのは、志望大学の最新の募集要項を確認し、自分に合った対策を練ることです。万全の準備で学校推薦型選抜の合格を勝ち取りましょう。