この記事では試験の有無や難易度も交え、総合型選抜における学力の必要性を解説します。
「総合型選抜に学力試験はあるのかな?」
「どのくらいの学力が必要なんだろう?」
総合型選抜で学力試験があるのか、気になっている人は多いですよね。
学力試験の有無を知らないまま、総合型選抜を受験しては「総合型選抜なら勉強しなくてもいいと思ってたのに…」と後悔しかねません。
そこで、本記事では総合型選抜試験における学力試験の有無を、特徴や問われる能力も交えわかりやすく解説します。総合型選抜で学力以外に問われる能力も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
- 総合型選抜試験に高校レベルの基礎学力は不可欠
- 学力試験は知識や技能以上に思考力・表現力などが重視される
- なかには共通テストを課す大学もある
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総合型選抜における学力試験とは?
総合型選抜における学力試験とは、学力の3要素を多面的・総合的に評価する試験方法です。文部科学省の通知により、どの大学入試でも学力の3要素を測ることが必要になり、必須化されました。
学力の3要素は、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・協働性」です。調査書などの書類では測れないため、学力試験で測ります。
基礎レベルの学力は不可欠
総合型選抜の学力試験では、高校で学ぶ最低限の基礎学力が必要になります。
高校で学ぶ基礎には、学力の3要素が含まれています。政府が進めている高大接続改革により、学力の3要素は高校教育で育成することが求められるようになりました。
各高校は、学力の3要素を育成するべく授業改善を進めています。例えば、知識や技能の習得を目指した従来の授業だけでなく、次のような場が設けられています。
- 知識を活かして自分で判断する授業
- 技能をさらに向上できるよう主体的に行動する必要がある授業
- 周囲の人と協働して問題を解決したりする授業
授業をきちんと受けていれば、学力の3要素を自然と身につけることができるのです。
共通テストとの違い
総合型選抜の学力試験は、大学入学共通テストと比べると評価方法や解答方法に違いがみられます。
総合型選抜の学力試験では、一般的に「学力」として認識されている知識・技能よりも思考力・表現力・主体性・協働性を重視する傾向にあります。したがって、学力が低い人でも挑戦しやすいです。
総合型選抜の学力試験 | 大学入学共通テスト | |
---|---|---|
評価方法 | 学力だけでなく、学びへの意欲や向上心等を含めて総合的に評価 | テストの解答の正誤から点数を出して評価 |
解答方法 | ・記述式や口頭による返答 ・答えが複数存在する | ・マーク式 ・答えが一つ |
気をつけたいのは、共通テストを総合型選抜学力試験の一部に用いる大学もある点です。詳しくは後述しますが、大学によって学力試験の方法が異なるため注意しましょう。
大学ごとで試験方法は異なる
総合型選抜の学力試験は、大学によって試験方法が異なっています。
各大学は、文部科学省が定める「令和7年度大学入学者選抜実施要項」を踏まえたうえで、自校のアドミッションポリシーに基づいて試験方法を決定します。
要項には、大学入試における総合型選抜での学力試験の方法について記載されています。各大学は大学独自で実施する学力試験を行うか、大学入学共通テストを採用するか、その両方を行うかを選ぶことが可能です。
総合型選抜を受ける場合は、志望大学がどんな学力試験方法を行っているかをしっかり調べましょう。
総合型選抜における学力試験の特徴
ここからは、総合型選抜における学力試験の特徴を、4つにまとめて紹介します。
- 試験方法は多種多様
- 大学独自の試験は時期が早い
- 資格・検定の有無が加点対象になるケースも
- 共通テストを課す大学もある
試験方法は多種多様
学力試験には複数の試験方法があり、試験内容や見られる学力も多様です。
大学が実施する試験方法として、文部科学省は様々な方法を認めています。例えば、以下のような試験方法があります。
- 面接:1人や複数人で行われ、志望動機や高校生活について聞かれる。
- 口頭試問:知識を言語化して質問に答える。
- グループディスカッション:出題課題についてグループで話し合い、意見をまとめる。
- 小論文:自分の考えを文章で表現する。
- 大学独自の学力検査:専門的な知識を問う記述式問題に解答する。
それぞれの試験では、知識、表現力、判断力、協働性、主体性など様々な学力が審査されます。総合型選抜の試験内容を桑s苦知りたい人は、次の記事を参考にしてください。
大学独自の試験は時期が早い
総合型選抜の学力試験は、他の選抜の学力試験と比べて早い時期に行われます。
総合型選抜は、出願開始が9月1日以降、合格発表は11月1日以降と文部科学省の通知により定められており、学力試験はこの期間内に行われます。
ほとんどの大学では、9月上旬から下旬あたりに出願を締め切り、出願時に提出した調査書や志望理由書で一次審査が行われます。学力試験は二次審査として採用されるため、選考が早い大学の場合、10月上旬には学力試験が行われることが多いです。
一方、他の選抜では2月1日から3月25日の間に学力試験が行われます。大学独自で行う学力試験を試験方法としている大学の場合は、早めに対策を開始することがおすすめです。
資格・検定の有無が加点対象になるケースも
高校在学中に取得した資格や検定の結果によって、書類選考時に加点する大学もあります。
文部科学省は、各大学の判断で資格や検定を学力試験として用いることを認めています。特に外国語に関する資格・検定は取り入れている大学が多く、例えば以下の資格・検定が対象となります。
実際の例としては、令和7年度の広島大学総合型選抜では5つの学部で加点対象としており、歯学部では英検準1級レベルで書類選考である一次審査にて25点も加点されます。
加点対象の資格・検定を狙う場合は、早めに資格取得をしておきましょう。総合型選抜における資格の重要性を詳しく知りたい人は、下の記事を参考にしてください。
共通テストを課す大学もある
大学の中には、大学独自の学力試験と並行して大学入学共通テストを課す大学もあります。
大学は共通テストの点数により、基礎的知識の有無や基礎的知識を活かした思考や判断ができるかを確認することが可能です。大学側は独自の試験で受験学生の基礎的知識や判断力の有無を測る必要がなくなります。
大学が事前に合格基準点を示しておくことで、受験学生は合格基準を数字で明確に知ることができるというメリットもあります。
大学入学共通テストを課す大学は特に国立大学で多いです。国立大学の総合型選抜を受ける場合は試験方法を良く調べ、大学入学共通テストの有無を確認してください。
総合型選抜で学力以外に問われる能力
総合型選抜では、学力の3要素以外にも必要な能力があります。大学への意欲やアドミッションポリシーに合っている人物であることを伝えるために必要な能力です。
ここからは、学力以外に必要な能力を3つお伝えします。
- 文章の読解力
- 資料の分析力
- 探求力
文章の読解力
長い文章を読んで内容を理解するための読解力が必要です。
総合型選抜では、長い文章を読まなければならないときが多くあります。特に、大学のアドミッションポリシーは独特の言葉づかいで書かれていることがほとんどなので、読解力が不足していると理解しにくい場合が多いです。
読解力が必要となる具体的なシチュエーションには、以下があります。
- 大学のアドミッションポリシーから、大学が求める学生像を見極めるとき
- 日本語や英語で書かれた文章から、筆者の考えを読み解く問題が出たとき
- 問題や解答の選択肢が長文で、短時間で内容を把握する必要があるとき
どんな文章からも内容を把握するためには、読解力を身につけておくことが大切です。
資料の分析力
表やグラフから情報を読み解くための分析力が必要です。
学力試験の中には、統計データやリストが試験問題の中に含まれ、資料を読み解かないと問題に解答できないものがあります。例えば、資料が提示されている小論文、大学入学共通テストや大学独自の学力審査の数学・社会系科目の問題などです。
大学入試で測る学力として「思考力・判断力・表現力」が加わったことで、学力試験では自分の知識と与えられた情報を併せて考えることが求められます。時間内に正しく表やグラフを理解し、自分の言葉で表現したり問題に答えたりしなければなりません。
限られた時間で与えられた資料の中から必要な情報を得るために、分析力を身につけることが大切です。
探求力
一つの物事について深く調べて理解するための探求力が必要です。
探求力があれば、自分が興味のあることや志望大学の分野に関することを深く調べることができます。
自分で深く調べて得た情報は、自分の知識として書類選考や学力試験の時に役立ちます。調査書で自分はどんなことに興味があって、大学でどんなことを学びたいかをアピールする際に、具体的に書くことが可能です。面接やグループディスカッション、プレゼンテーションなど自分の知識をアピールしたり知識をもとに考えたりする場面で、考えの基盤とすることもできます。
自分の得意分野としてより深い知識を得るために、探求力を身につけておくことが大切です。
なお、次の記事では上記で紹介したスキルも交え、総合型選抜試験に必要なものを詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
まとめ:総合型選抜学力試験は事前の対策が重要
本記事では、総合型選抜の学力試験の特徴と必要な力について解説しました。
学力試験といっても、確認されるのは一般的に学力と言われている知識や技能だけではありません。様々な試験方法で、表現力や判断力、主体性など様々な能力が確認されます。
勉強が苦手という人でも、志望大学の総合型選抜における学力試験の内容を調べ、知識以外の能力を高める対策を早めのうちから行えば、合格に近づくことができますよ。
なお、次の記事では合格率も交え、大学別に総合型選抜試験の難易度や倍率を詳しく解説しています。合格へのイメージを膨らませたい人は、ぜひ参考にしてください。